case.3 クール

「私に構わないで」

 隣の席に座る幼馴染の僕ですらこの有様だ。誰に対しても笑顔どころか弱いところを見せようとしない。そのくせ、物言いはこうもはっきりとしている。

 男子や先生にも物怖じしないその態度は女子から憧れを、男女で扱いが変わらず、サバサバした態度は男子からは好感を持たれていた。

 こいつの世界はそれで完結していた。一人とその他。

「余計なこと……しないでよね」

 風邪で寝込んだときですらその態度を崩そうとはしない。

「でも、いつもありがとう。だから、少しだけ……」

 急に赤くなった君の顔と僕の体に回される腕。こいつのこんな姿は僕しか知らない。

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