君の体温、君の匂い

午前六時五十八分

障子も開けない、薄暗い寝室。

まだ、少し温かい布団。

枕元には、丁寧に畳まれた部屋着。

「ちょっとだけ……借りても、良いかな」

恋人の名残に身体を埋め、幾度となく深呼吸をする。


あぁ情けない、この姿!

歳下の彼が見たら、何と言うだろう。


家を出る恋人の小さくも頼もしい背中を反芻しながら、時の経過を待っている。

今はただ、時計の音が、ひどく虚しい。

「月曜日なんか、来なければ良いのに」

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