待ち人

壁時計の文字盤と窓に映る自分の姿を、幾度となく確かめる。

昼下がりの喫茶店特有の閉鎖的な雰囲気も相まった、妙に切ない心持ちだった。


グラスを満たすレモン水は、微かな甘酸っぱさを湛え、舌の上に広がる。

脳裏には、待ち人――青年の躍動する瑞々しい肉体が浮かび上がり、遥か昔に忘れ去られたはずの青春の訪れを、噛みしめた。


厚い木の戸が押し開き、空間の静寂を、均衡を破るように、匂い立つ。

青年の微笑みは、いつも以上に甘く刺激的だった。

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