儚いもの
魔物は青年の肉体を侵食する。
彼の全てを奪おうと、今も静かに、蠢いている。
――美しいものほど、儚い。
青年は、無機質な小さな塊を口に含むと、苦しげに眉根を寄せ、嚥下した。
白い喉仏が上下して、口の端から一筋の清い水が伝う。
男は堪らず、青年の身体を掻き抱いた。
青年の肉体の温度を、匂いを、存在を確かめるように、その両腕に力を込めた。
「もう、心配になっちゃうなあ」
困ったような、甘えるような、優しい声色が微かに震え、柔らかな唇が男の頬を湿らせた。
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