髪留め
「え、俺に? くれるの?」
包みの中身を手に取った青年は数度瞬きをすると、くすくすと笑い出した。
「俺、もう大人だよ?」
くまを象った飾りの付いた髪留めを指先でぶらりとさせて、彼は言う。
「気に入らなかったのなら、申し訳ない……」
「ふふっ、先生って……面白いね」
青年はお腹を抱えながら、目尻に溜まった水滴を人差し指で掬っている。
「処分、します」
青年の手から、髪留めを取り上げようと手を伸ばす。
「だめ、これがいい」
青年は私の手をひらりと躱す。
それから、わざとらしく首を少しだけ傾げて言った。
「もう髪、短くできないね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます