クリスマス・ソング

眩いばかりのイルミネーションが、駅前の広場を彩っている。

頭に星を頂いたモミの木の下で、恋人たちは手を取り合い、愛の言葉を囁き合う。

周囲は歓喜の声に包まれ、何処からか聞こえるクリスマス・ソングが祝福の声を上げていた。


「今日は遠回りして帰ろう、ね?」


青年は男の数歩先を歩く。

口ずさむクリスマス・ソングは、おもちゃ屋の隅に追いやられた古いオルゴールの音色のようだった。

疎らに佇む街灯の今にも消えそうな橙色の光が、地面に小さな円を描いていた。


男は青年を抱き寄せた。

金色の髪が男の頬に触れる。

胸元に置かれた冷たい手をそっと握ると、青年は幸せそうに目を閉じた。





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