夜半の月影
障子の隙間から射し込む一筋の青白い光が、乱れた床の上を静かに濡らしている。
消え去らぬ甘い余韻に痺れた身体を、吹き込む風が優しく撫でる。
横たわる俺の湿った髪をその指先で梳きながら、彼もまた、内側に宿る熱を持て余している。
――その様子が、堪らなく愛しかった。
時折項に触れる伸び始めた髭の感触。
汗の匂いと微かな吐息。
募る幸せを噛み締めながら微睡み始めた視界の端に、埃を被った扇風機が一台。
夏の終わりを告げていた。
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