第3話夢なのか
女の子がライトグレーのアバルト595のドアを開けて「ジョニーも早く乗って」と言った瞬間、ジョニーに一瞬恐ろしい記憶が蘇って来て不安な気持ちいっぱいで乗り込みました
。走り出すと一瞬蘇った記憶をもう一度体験する事になりました。女の子の車の、あまりの速さにジョニーは「アッチョッソコッブレーキブレーキ〜」と絶叫し心臓が口から飛び出しそうになりましたが、女の子は目をキラキラさせて、時たまヒューとか言いながら、カウンターを当ててコーナーを抜けて行きます、ジョニーは横に流れる景色に一瞬気を失いそうになりましたが、幸いジョニーが気を失う前にシーフードレストランコヒメに着きました。ジョニーがまだドキドキしている胸を押さえながらレストランに入ると窓からは間近にビーチが見えました。ジョニーが食べ終わったら行ってみよう、と思って眺めていると、女の子がメニューを見せて「ジョニーこれにしようよ」と満面の笑顔で言いました
。ジョニーもメニューを見ると女の子の選んだメニューが最初のページの一番目立つ所に出ていました。ジョニーは女の子が昨日から
この料理を一緒に食べるのを楽しみにしていたのだろうと思い「うん、これ凄く美味しそうだね、これにしよう」と答えました。オーダーを済ませると、女の子が「さっきの公園凄く大きな観覧車があるんだ。次行ったら絶対乗ろうね」と言いました。ジョニーは女の子が次の楽しみにとっておこうと敢えて今日乗らなかったのだろうと思いました。そんな女の子の気持ちを感じたジョニーは女の子の名前をちゃんと訊かなくてはと思いました。ジョニーが、よし今訊こうと思った時、カニピラフが届きました。カニピラフは見るからに美味しそうだったので、やはり食べた後に訊こうと思いカニピラフの上に乗ってる蟹の脚を奥歯で軽く咥えた次の瞬間、女の子の手がジョニーの手をポンと押しました。するとジョニーの咥えてた蟹の脚がジョニーの口の中に軽く刺さりました。ジョニーが「イッテッ」と言うと「ゴメ〜ン何か押してくれって言われてる様な気がしたの」と女の子が言いました。ジョニーはオイオイと思いましたが、女の子がメッチャ嬉しそうに笑い転げているので、ジョニーも思わず笑ってしまいました。すると女の子が「ジョニーチョット見て、こうやって中の身をピラフの上に出して食べるのよ、私のが終わったら手伝ってあげる」と言って自分の蟹の身を出し終わると、ジョニーの蟹の身を出し始めました。その時ジョニーは名前を訊くなら今だろうと思い、意を決して「アノ〜今更だけど君の名前は?」と訊きました。すると女の子が「えっ?」と言う表情でジョニーを見つめ次の瞬間、目が覚めました。目が覚めた時ジョニーはさっき迄見ていた世界が、あまりにもリアル過ぎたので、一瞬何が起きたのか解りませんでしたが、目の前に何時もの見慣れた景色が広がっている事で、さっき迄見ていた世界が夢の中の世界だったのだと理解できました
。そしてジョニーは何故か、ほっとしていました。夢の中の世界は、あまりにも広大で、自由で光に溢れ、美しすぎましたから、幼い頃からずっと檻のなかで生きてきたジョニーにとっては眩し過ぎる世界でした。
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