第7話  ハーレムも紙一重

 タコ部屋へ入居して、3週間が経った。

 満足できない粗末な食事と風呂すら入れない衛生面の悪さ・・・


 僕の心はだんだんとすさんんでいき、体力を温存するために話すことさえ、出来ないほどのひどい状態だった。

 

 週に一度は休みがあっても、タコ部屋では寝ることすらままならなくて、外に出て体を伸ばし、そのまま寝入ってしまうことはざらだった。春のポカポカ陽気が、僕の体を温めてくれる、少しだけの癒しの時間。


 男狂いの僕でも、流石に男を欲しがる余裕もないし、ヤサ男達は臭くてたまらない。

 たぶん、アソコの匂いはもっとキツいだろう...


 【こんなとこ、嫌だ!

  よしこちゃんも酷すぎる。

 〔自分のことは棚にあげ・・〕

 〔恨みの矛先は〕全て、よしこのせい!】


 【戻った暁にゃ―、

       酷い仕打ちをしてやるぞ!】

 

 《ヒデキちゃんの(極悪)仕返しリスト》

 

 ①チャリンコで往復3~4回引き回す

 

 ②じゃんけん、グーチョキパー攻撃

  グーで拳骨げんこつ2発

  チョキで目潰し

  パーでビンタ


 ③よしこちゃんが歩いている

     後ろから飛び蹴り&回し蹴り


 【ハハハハハ!よしこめぇ――

        どうだ!参ったか!!】


 その日の夜、僕は仕返しをした!

 夢の中で・・・・・(笑)


 【しね――――――よしこ――!】


 タコ部屋....42日目ぐらいかな。。

 男達との甘いラブライフもないし、楽しみと言えば、シンプル片寄り弁当が届くこと。


 春が過ぎて、ようやく体も慣れてきた頃、仕事が終わり、いつものタコ部屋に戻ったその瞬間――――


 タコ部屋の男達が、一斉にヒデキちゃんを襲ってきた!!


 タコ男リーダー

 「お前!オカマだろう?!

  ナヨナヨしやがって。

  お前がいると、仕事がはかどらなくて

  迷惑なんだよ!!ドブスが!」


 ヒデキ「........」


 タコ男リーダー

 「どうせ何も出来ないなら、

       俺達の性処理でもしろ!」


 ヒデキちゃん、お返事も出来ないまま

男達の逸物いちもつを無理矢理加えさせられ、僕のお口に発射オーライ。


 十数人のタコ男達の《1本》が入れ替わり立ち替わり。


【まつたけ、まつたけ、しいたけ

 おっ――――――っ!!じねんじょ!!】

 

 この快感は、ピカッ――――――ッ!


 お・も・い・だ・し・た・ぞ――!


 ホモの館、初日に味わったこの興奮!


 神様、ありがとう!!!


 その日をさかいに、僕は男達15人のハニーとなった。

 夜はみんなのお相手で大忙し《ウフフ》

 楽しい夜のお勤めがあるから、日中での作業はほとんど免除され、僕の代わりにダーリン達が力仕事を全て引き受けてくれた。

 

 営みが十分に果たせるよう、

 朝のおにぎりと夜のお弁当もみんなで分けてくれてラッキ―――《ウフッ》


 至れり尽くせりの日々に感無量!!!


 ヒデキちゃんのご奉仕のお陰でタコ部屋の彼達はイキイキしてきたし、顔面爆弾と呼ばれてたヒデキちゃんのことを「エンジェル」と呼んでくれたんだよ。


 エンジェルヒデキちゃんの奪い合い。


 生まれて初めてのモテ期到来!!


  そうそう...

  僕がネコ(女)役って思うでしょ?

  なんと、、、、

  ヒデキちゃんは犬(男)役なんだぞ!

  びっくりした?!

  ウフッ、男って甘えん坊さんウフフ


 さすがに、毎日大人数のお相手はヒデキちゃんの体もクタクタでお肌もカサカサ

(唇もちょっと痛い...)


 1日5人までに限定し、あみだくじでその日の相手を選抜していた。

【ヒデキちゃんを巡って

       取り合いするのはダメ!!】


 エンジェルはひとりしかいないんだから、みんなで労ってくれないとね。〔キモッ〕


 夜が明け、また一日が始まる。

 

 いつも通りの労働への道のり、

 力仕事はダーリン達にお任せして、

 ヒデキちゃんはお昼寝ターイム。


 体内時計が12:00を指した頃に天使お目覚め。


30分の休憩時間に入った時だった。


 滅多に現場へ現れることがないカタコト男が誰かと歩いてくる。

 

 目を凝らして、よ――く見てみると・・

 なにやら見慣れた...


 まんまる顔...

 チビのくせに、絶大なオーラを持つ人物!


 あっ―――っ!!


 またしても、アイツが現れた!!


 あの女―――――――!!


 ヒデキ「打倒!よしこだ――!」


【よしこ――!何故ゆえ、

  このタイミングで来ちゃったの!】


 僕はカタコト男に呼び出され


 カタコト

 「オマエ モウ イラナイ カエレ」


 いきなり解雇宣告。


 【はぁ!?なんだってぇ――――】


 ヒデキ

 「ヒデキ カエラナイ ココ イル」

 僕もカタコトで言い返した。


 【ヨシコ オマエガ カエレ】


 よしこちゃんが僕の近くに駆け寄り


 よしこ「苛酷労働って聞いたけど、

 あんた、ぷくぷくしてるやん!肌までつるんとしてこの環境を克服してるじゃないのよー!オマエはドブねずみか!」


 エンジェルヒデキちゃんのキラキラ感に嫉妬していた〔それはないな〕

 からの~まさかのヒデキちゃんとのお別れに僕のダーリン達は、まるで悪魔が舞い降りて来たかのような、よしこへの眼差し。


 よしこ「帰るよ!」


 ヒデキ「いや!!うちはココに残る!」


 よしこ「お前、バカか!体が持つわけないやろう!」


 ヒデキ「僕の体は潤ってる」


 よしこ「は??」


 イヤだ、イヤだ言ってるヒデキちゃんの思いは虚しく強制送還の準備。


 タコ部屋のみんなとお別れしたいからと、よしこちゃんにお願いし、

【ヒデキちゃんのダーリン達に一人ずつ

       天使のkiss◇◇そしてハグ】


 戻って来た僕を見て、

         よしこドン引き........


 ガマさん以外は、みんな涙ぐんでいた。

 ....ような気がした。

 うしろ髪を引かれる思いで、何度も後ろを振り返り手を振ろうとしたけど、ロープでぐるぐる巻き。


 【さよなら―――

  デーモンオークラ、マイクタイゾン、

  クルーズトム、ハナヒタゴンギラス、

  ヨソバシマワタ、ゲッツイトウ、

  マジカルストロングハイ、

 

  みんな、みんな、さよなら――

  エンジェルキッスを

  忘れないでね―――チュッ】

            〔おぇ―――っ〕


  こうして、3ヶ月のタコ部屋労働生活は幕を閉じた。


 余談ではあるが... 

 例のカタコト男だけど、純血の日本人だった(山形県と宮崎県のハーフ)

ただ、訛ってただけ。


 そして最初にお話しして、ほとんど登場がなかったガマさんは、インポだったらしい。

【あ―――――、

 だからヒデキちゃんを抱かなかったのね】

         ――――――納得。


 太陽の陽射しが眩しいなぁ~

 ミン.....ミ...ンミンミン。

 

 ヒデキちゃんの恋は終わったが、アブラゼミが恋の季節を迎える頃。

 ハーレムから地獄へ戻るヒデキちゃん。

 考えるだけでも、おぞましい

 7月の暑い朝だった。


 次回、第三章へ続く。

 いよいよ、最終章。

 乞う、ご期待!

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