第4話 フリーダム

 万引きを覚えた僕は、各スーパーを点々とハシゴし、お惣菜やお弁当、ジュースなど手当たり次第に盗んだ。

 9割の確立で大成功していた。

時より店員に見つかり追いかけられたが、逃げ脚の早いヒデキちゃん!

 逃げ切ってセ――フ!


 当時は防犯カメラがあまり普及されてなく、防犯ミラーの時代だったので、死角に入れば万事OK。

 僕の防水トートバッグには常に食料がパンパンに入っていた。

そろそろ、お弁当やお惣菜にも飽きてきて、高級食材、肉や魚・・

好物ではないが松茸((ウフッ))をGETした。

 しかし、肉や魚は調理が必要で、フライパンと卓上コンロもとり急ぎ盗み、錆びれた神社などに行き、焼いて食べた。

 松茸は舐めるだけ~!

 快適ライフ!


 今度は現金欲しさにコミックを盗み、その本を買取り、業者に売りさばいた。

 人気のコミックは買取価格が、高値で取引されているからコンプリートして売れば7~8千円にはなる。

 そのお金で館へ通いスーパーを巡る。

 いつの日か仕事に行くこともなくなった。

 なんて静かで穏やかな毎日なんだろう。

 借金取りに追われることも、朝から働きづめにならなくても、誰も文句を言うやつはいない!

 自由気ままな時間を過ごせるのはこんなにも素晴らしいんだ!

 ウキウキ気分でいつもの日課であるスーパーへ食材をGETしに自転車を走らせた。

 オープン五分前、駐車場に到着。

 自転車を止め、カゴからトートバッグを下ろしている時に知らない男が数人近寄ってきた。

 

 男「ちょっとお話がありますので、事務所まで御同行願えますか?」と声をかけてきた。

 

 ヒデキ「え?なんですか?」


 男「私はこのスーパーの店長をやっております。橋本と申します」


 ((やっ、やばい!万引きがバレた??))


店長「うちの品物をレジを通さず、そのまま持って帰りましたね」

 

 ((ほらきた!!)) ここは逃げたいとこだが、男たちに囲まれ逃げるルートがない。

 

 ヒデキ「盗んでないですよ!」

 

 店長「いいから事務所に来い!」

とそのまま事務所に護送された。

 広い寒々とした事務所が殺伐と見え、今から僕の審判が始まるんだな―と悟った。

 

 《ここのスーパーは

       防犯カメラなかったはず》

 《が!!!あった――――(泣)(泣)》

 

 ヒデキちゃん!万引きしてます映像がバッチリ映っていて、もう言い訳のしようがない。逃れられないヒデキちゃんの罪。


 ヒデキ「申し訳ありません!許して下さい」と泣きながら何度も何度も頭を下げ許しを買うてはみたけど


 店長「君は一度だけではなく、何度も盗みに来てたよね?しかも高価な食品ばかりで悪質すぎる。警察を呼んでるからね」


 何を言っても無駄のようだから、僕は黙ることにした。僕の盗んだ商品は数万円以上らしく、他のスーパーからも要注意人物としておふれが出ていたらしい。捕まるのも時間の問題だったみたいだ。


 ((もうだめだ!観念しよう))


 警察官が僕を迎えに来て、初めてのパトカー。ちょっぴりドキドキな気持ちで乗り込んだ。パトカーから見える景色は思った以上に悪くない。


 警察官のお兄さんもイケメンだった。

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