第3話 じいさんとなめこ

【さて...これからどうしよう..】

 よしこちゃん怒っているかな~


 何より今月分の給料は、ほとんど使ってしまった。残金7800円。

 ミカエル代は思った以上に高くついた。

 まぁ~あれこれサービスを受ければ、10万位軽くいく。

 いつものことであって、気にしないのがヒデキちゃんなのだ。


 ピッチ(PHS)の電源を

 ONに戻し...!

 その瞬間!


 よしこちゃんからの着信コール!


 よしこちゃんの執念深さは人一倍である。

つながるまで、かけ続けていたんであろう!

 こうなったら、もう僕に残された道は逃げるしかない!

と、他人事のように思ってみた(笑)


 7800円の所持金。


 うん!なんとかなる!


 ヒデキちゃんは、

     よしこちゃんを卒業する!!


 軒下でも橋の下でもどこでもいい!

 僕は独り立ちするんだ!!


 ヒデキちゃんの【がんばるんば】は僅か数ヶ月で幕を閉じた。


 よしこちゃんの息の掛かったコンビニと土木はブッチする!倉庫の仕事はその日によって、派遣場所が変わるから、よしこちゃんでも探すことは出来ないだろう。


 しかし、1ヶ月間7800円でどうやって過ごそう...


 とりあえずお腹が減ったので、スーパーに値引商品でも買いに行くか~


 数週間が経ち、所持金も底を突いた頃、僕は男が欲しくなり、何とかタダ同然で男と触れ合う場所がないか考えた。

 頭から煙が出る位、知恵を絞りいいことを思い付いた!

 

 市営の銭湯に行けば、200円で男の裸を心ゆくまで眺められる!

 冬とはいえ、数週間風呂に入ってないし。

 一石二鳥とは、この時に使うんだ!!


 【善は急げ!】


 番台のおばちゃんに男代(銭湯代)を支払って、そそくさと男湯へいざ! 

 

 Let 's go ~!


 オゥーNo~!!!!!

 

 ご老体ばかりじゃ~ん!

 右も左もじいさん、じいさん

 がっかりだ

 ハズレ~


 なめこだらけで、松茸は1本もなし!


 せめて椎茸だけでもと、ゆでダコになるほど粘ったが、市営の銭湯常連のじいさんグループがA、B、 Cと入れ替わりで入ってくるだけ...


 今日のディナーは満腹になれそうにないな。僕は諦めて帰ることにした。

 

 ひでき「お腹すいたな~喉も渇いたし」


 ふらっと立ち寄ったスーパーで惣菜を手に取り、眺めていたと同時にヒデキちゃんのおなかもグゥ――――――――。


 回りをキョロキョロ見渡して、僕はバックにそっと隠した。

 近くにあったお茶も同じくIn。

 なに食わぬ顔でレジを通りすぎ、外へ出た。見つかった形跡はなし!


 【スゴいゾォ――これはいける!】

 【ヒデキ、感激!】


 盗みを覚えた29歳、寒い冬の夜だった。






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