第2章

第1話  ヤミ金<よしこちゃん

 よしこちゃんとの出会いから6年の月日が経ち相変わらずの男、男の毎日・・・・。

 ホモの館に通い続け、いつの間にか常連になっており、新人が入って来たら、施設の説明が出来るくらいに成長していた僕。

 

 館の出会いはワンナイトラブ...

 満たされることはなかった。

 

ヤミ金や消費者金融、日ごとに増えていく利息。

 借り入れしなくても、どんどん膨れ上がり、毎回借金取りからのTELがひっきりなしにかかってくる。

 取り立ても昼夜を問わず催促に来る。

 

 母と二人暮らしの僕だが、母はスーパーで働いていた。

 母のパート代は、ほとんど僕の借金返済に充ててくれたが、僕は働いても男に使い込んでしまい、返済してくれたお金もまた借り入れ期限が来たら、すぐATMに駆け込み下ろして使う始末。

 母がいるから、まだその日食べていくことは出来るし、住む家もある。

 

 危機感なんて全くなく、時間さえあれば館に毎日通っていた。


 僕の仕事は、倉庫の仕分け作業。

 昼12:00~夜8:00まで。

 月に貰える給料は18万程。


 バブル最盛期でアルバイトでも意外に給料はいい時代だった。

 

 仕事も履歴書1つですぐ雇ってもらえる。

 

 ただ...唯一、僕にとって不都合は、月末まで待たないとお金が入ってこないということだ。

 《館代....どうしようかな....》《090・・・》ヤミ金!

僕には強い味方がいる!!

 

ヤミ「毎度~〇〇商事です」

 ヒデキ「サイトウです。〇〇さん?」


僕はお馴染みの客だ!(ドヤ顔)

 

ヤミ「またですか?サイトウさん。

他社にも借り入れしてるから、正直もう貸せませんよ」

 

 ヒデキ「どうしても今日中に3万、いや2万必要なんです!必ず返します!

お願いします!」


 何度も何度も頼み込み、ようやくOKをもらい僕は待ち合わせ場所に向かった。

 ヤミ金のお金の渡し場所といえば、決まってパチンコ屋の駐車場で...いつもの見慣れた車がやってきた。

 

 ヒデキ「須崎さ――――――ん!

          あれ?ん?ん???」


 乗ってる男が・・・須崎さんではない!!

 そこに現れたのは、以前から借り入れして返済が滞ってるヤミ金の見慣れた男が二人!


 携帯電話が普及されていた時代だったが、

TEL料金を払ってなく、携帯は機能停止。

 家にもいない僕を探すのは、いなくなったネコを探す位、捜索が難しい。

 機能停止の携帯電話では連絡が出来ないから、公衆電話にてのライフライン。

 僕は公衆電話の番号も知っているので、かけ直してもらうことも可能である。

 同じ場所にいることもないし、職も転々としているから、僕を探し出すのは困難である。

 必然的に奴らは僕の自宅へ行くしかないのだ。

 

 でも、僕は毎日、ホモの館に帰るから見つかるはずもない。

が.....見つかってしまった。

 二人の男は車から飛び出してきて、両サイドから腕を捕まれ、宇宙人のように捕獲された。無理矢理車内に引きずり込まれ、

 

 《やっやばい!!》


180㎝もある身長の男達には僕の抵抗は虚しく、車の扉が閉まった。

 

 ヤミA「斉藤く~ん、探したよ~」

 ヤミB「さて、これからどうしようかね~」


 《ぞっぞぞぞぉ――――――》


借金のかたに当時よく耳にした。

 マグロ漁船?!

 雑巾バイバイ?!


他は何があるだろうか?!

山に連れて行かれ、穴を掘り、ヒデキちゃん生き埋め。

殺される~よしこちゃん、

        助けて―――――


ヒデキ「ちょっ、ちょっと待って下さい!!

電話を掛けたい友人がいるので、1本だけ電話をさせてもらえませんか?」と・・・

 

 よしこちゃんを都合よく思い出し、ヤミ金Aに伝えてみた。

 

 ヤミA「誰か君の借金肩代わりしてくれるの?」と聞かれたので、


 ぼくは「はい!!!!」と鼓膜が破れる位の大音量で返事をした。

 

 ヤミA「じゃあ、直接そのお友達の家に行ってみようか」と言い出し。

いきなり来訪で、よしこちゃんが怒りまくる表情が浮かんでは消えた。 

 

 ヒデキ「是非とも、お願いします!」

 そんなことより、わが身が何より大切な僕。

 ヤミAに迷いなく住所を伝えた。


 ドキドキしながら.......それは嘘。

 

 これまでにないくらい正確な道案内をし、見慣れたよしこ宅が神々しく現れたその瞬間

 

 【ヤッター!!助かった~!】


 エンジン《ブル.....................ルン》

車は、よしこちゃんちの玄関の前に停められ、僕は降ろされた。

 その足で逃げようとも考えたが、すぐさまヤミB も僕の腕をつかみ、一緒に車から降りて来たから、逃げ出すこともできないまま、玄関横の呼び鈴を鳴らした。


 静かな住宅地に


 ((ピ........................................ン、ポン!))


 マヌケな呼び鈴の音がやけに響く

 ((ピ--------------------------------ン))までがやたらと長く「ポン」が短すぎる。

 ヤミB 苦笑。

 

 呼び鈴を鳴らして、2~3分は待っただろうか.......誰も出てこない。

 

 ヒデキ【どうしよう(汗)たのむ!

         親方~出てきてくれ~】と........その時!!


 「ひ――――で―――き――――――!」


 遠くから微かに僕を呼ぶ声が聞こえる。

 

 ヒデキ「ん?」と振り返った瞬間、

よしこちゃんが猛スピードで走ってきて

 

 よしこ「お前-----------------------殺す!!」

と、いきなりジャンピングキックをされた。

その衝撃で隣にいたヤミBも一緒に飛ばされ、僕らは地面に転がってしまった。

 実を言うと、僕はよしこちゃんからも数回に分けて、数万ずつお金を借りていて、チンピラ同様よしこちゃんも僕をずっと探しまわったらしく

 

 よしこ「あんた!!

        どこに隠れてたのね!?」

 ヤミ金にも勝る程の捜索をしていたらしく・・・

 

 よしこ「は?誰。その男は」


 ヤミBのことを聞いてきた。

 

 ヒデキ「いや・・・この人にも借金があってね.....」

 

 よしこ「知らん!」


 よしこちゃんはヤミBに

 「あんた達、さっさと帰らないと警察呼ぶよ!」とヤミA、Bと喧嘩を始めた。

 

 ヤミBはジャンピングキックの衝撃か、よしこちゃんの鬼のような形相にビビったのか、何にも言えずに僕を残して、そのまま車に乗り込み走り去ってしまった。


 ポツンと残されたヒデキちゃん。

 我に返り、よしこちゃんをチラッと見た。。。


 怖すぎる~


 よしこちゃんの最強平手ビンタと共に、僕は第二の拉致と恐怖を味わうことになる。

 

 腹一杯の往復ビンタを食らった僕は、よしこちゃんの家に連れ込まれ、恐ろしい拷問とも言える怒りの鉄拳を5時間聞くことになる。


 気が遠---------くなるほどお説教され、時折ビンタを間に挟まれ、ヤミ金よりとてもとても怖かった、真夏の暑い夜。

 

 ヒデキ「よしこちゃん-------------

    クーラーつけてもらっていい??」

 

 よしこ「なんだと-----------------!

             我慢しろ!!」


 また、ビンタされた(泣)......トホホ。

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