第4話 男の館


 すべてを失ってしまった僕は

 

ヒデキ「これからどうしよう…お金もないし」ふらふらと裏通りを歩いていると、ある建物が目についた。


―――20才から40才までの男性歓迎――

―――女性立ち入り禁ず―――


 ヒデキ「なんだろう?仕事の募集かな?」

 

 そう思ってふらっーと立ち寄ってみた。

 真っ暗な入口、受付らしき所から怪しげなおやじが出てきて・・・

 

 おやじ「初めてですか?」

 

 ヒデキ「あっ、はい・・・」

        ・・・・・何の説明もなく

 

 おやじ「入館料二千円です」


 僕はポケットの中の三千円のうち二千円をそのおやじに渡した。おやじは少しニヤリと笑って

 

 おやじ「ごゆっくり、どーぞ」

そう言って奥へ消えて行った。


 館の中に入っていくと部屋の扉に

(服を全部脱いで、こちらのガウンにお着替えください)

と書いてある張り紙があった。

 僕は着替えを終えて、ゆっくりとその扉を開けてみると・・・部屋の中は真っ暗でなにも見えない。

 

 ヒデキ「ここは、いったい何をする所なんだろう?」

すると人の声が聞こえてきて・・

 

 「あっあっ・・いっいくー」


 あえぎ声だ!しかも男!

一人、二人の声じゃない、低い声で紛れもなく男、男、男!


 もしかしてここって・・・・・


 だんだんと暗闇に慣れてきた目で僕が見たものは・・裸の男たちが抱き合っている姿だった。それを見て、僕は唖然とした。

 僕みたいな境遇の男たちがこんなに、沢山いるなんて信じられない。

 ふと、何やら人の気配を感じ、振り向くと・・僕は、いきなり知らない男に押し倒され、いつの間にか僕の周りには8人ぐらいの男たちが集まっていた。

 僕は怖くなり、すぐに逃げ出そうとしたが、男たちに腕や手、口などを押さえられ全く身動きできない。僕は無理矢理犯され、痛みと虚しさだけが残っていた。


 斉藤ヒデキ 24才の夏


 初体験は

 8人の男たちに廻されて終わった。


 男たちとの集まる館を出て、僕は無性によしこちゃんに会いたくなり、泣きながらよしこちゃんの家に行った。

 よしこちゃんも何気に僕のことを心配しており、こんな僕を優しく慰めてくれた。

 しかし、本当に僕は取り返しのつかないバカだ!あれ以来、あの犯された妙な快感が忘れられず・・・


 また、あの館へ行ってしまったのだ。


 若い男から中年の男、色んな出会いがありエッチもやりたい放題!!

 気に入った男とエッチしていても、大部屋では他の男が乱入してくるので、二人っきりを楽しみたいカップルは有料の別室があって、その部屋へ入ることが出来る。

 週末は殆どカップルができあがっていて、部屋は満室状態、順番待ちとなるのだ。

 燃え上がっているカップル達は待ちきれず、入口の前の廊下でエッチを始めだす・・・

 そんな光景を見ているだけで興奮する!


 僕にとって・・この館は、ホモの館!


 パラダイスだった。


 毎日毎日、飽きるほど通いつめて紹介なんてしてもらわなくても、色んな男と知り合うことができる。

 この際、不細工な男だろうが関係ない!

お金ではなく僕を求めてくれるのなら..


 しかし、世の中そう甘くはない。

 僕はブスで性格も悪い、まともな男が来るわけもなく・・・

 薬物で頭がラリッてる男に散々つきまとわれ、トドみたいな男には、付き合って二日もしないうちに


 トド「ごめーん、君の足臭いから」

と僕より不細工な男にあっけなくフラれ、


 また、次に付き合った男は自衛隊員!

頼りがいのある、誠実そうな青年だった。

 今度こそはと気合いをいれて、頑張ってみたが1週間も経たないうちに

 

 「PKO に戦いに行くから別れてくれ」

などと訳のわからない理由で振られた。


 次こそはと20才の大学生!

デブで不細工だったけど、選り好みしていられず、付き合ってみることにした。

・・が「最近、リュウマチが痛いから」

と振られた。

 20才でリュウマチなんて聞いたこともない。

 やはり若い奴は、ダメなのかも・・

 と中年のハゲたおっさんにチョッカイを出してみた。

 おっさんは薬局で働いていたが、僕が意味なく店にいくもんだから、ストーカー呼ばわりされ警察に通報・・・


 危うく捕まりそうになった。

 僕の魅力は、やっぱりお金だったんだ!

 と改めて悟った。

 

 それでも僕は男欲しさに、とうとう「090・・・」ヤミ金融に手を出し、素人が駄目ならとありとあらゆる雑誌を読み漁った。

 ヘルスやソープがあるように男の子が相手してくれる、その種の遊ぶとこぐらい絶対あるはずだ!

 

 色んな情報を入手して、僕はようやく店を探しだした。


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