第9話 蛇足、終わりと書いてはじまりと読む、つまりウロボロス

「だからその部名だったら俺は入らねぇ」

 そんな声が聞こえてきた。戸を開く。もうみんな揃っていた。

「ごめん、遅くなったかな」

「そんなことないよ」

 さゆりが笑う。頷いていつもの席に座って、もらってきたばかりの用紙を出す。部活申請書、とあった。

「で、決まったの?正式な部名」

 問いかけると夕歌がうんざり、といった顔で答える。

「マジでこいつらセンス無い」

 苦笑するしかない。なんとなく知っていただろう、と突っ込むわけにもいかないから、

「どんな案なの?」

 問いかけた。

「ムナカタセブン」

 綺莉が真顔で答える。

「五人しかいねえだろ、却下」

 多希が挙手する。

「Argenteum Astrum」

 妙に発音が良い。

「お前がクロウリーか。却下」

 にべもない。

「ムナカタファイブ」

 綺莉はあまり懲りてないようだ。

「ファイブがついたらもうそれだけで○川清しか浮かばねーよ」

 そういえばそんな演歌歌手とコーラスグループが居た。

「ムナカタファイブでMK5とか?」

「特殊任務艇かよ。却下」

「パヴァリア幻想教団」

「宗教にするな」

 マシンガンのように篝姉妹と夕歌がやりとりしてる。この人達、本当に変わってるよなぁと呆れていたら、さゆりがお茶を持ってきてくれた。

「ひ、ひみつくらぶ」

「なんとなく淫猥だよそれ」

 笑い声が響く。

 せっかく紙をもらってきたのに提出は多分相当先だ。


 僕らはこんな感じで、次の謎を探している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ウタカタメモリーズ ユキガミ シガ @GODISNOWHERE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ