卒業文集

桜船 みかん

卒業生

 あと、3ヶ月で卒業だ。早かった6年間3年の時恋した君。まだ告白ができていない…。6年でまた同じクラスになった。1.2.4.5年生は、違うクラスだった。けど、ずっと思っていた。君のことで。卒業式に告白する。僕は、そう決意した。

 今日から、総合が始まる。

「今日から卒業文集を書くぞ」

先生が、言っている。卒業文集か…はやいな。

「先生」君は先生を呼んだ。先生は、「あとで先生の方きてな」と、微笑んでいた。何の話をするのだろうか。さすがに盗み聞きはよくない。

「何かあんのかな?」

仲の良い女子が問いかけてきた。

「わかんない」僕はそう答えた。

気になって、気になってぜんぜん書けなかった。戻ってきて、みんながそちらに、あつまって、「どうしたの?」ときかれている。君はニコッと笑って「大丈夫」と、呪文を唱えている。そう。呪文を…。自分に言い聞かせてるように。大丈夫何かじゃない。

「あと5分だぞ」

先生が言った。あと5分か…。何にも思いつかないな…

 次の日君は休んだ。先生は、かぜで休みと言っていた。そんなのうそだ。僕は、どこかでそんなことを思っていた。今日の3時間目も総合だ。今回は、集中して書けた。卒業文集。みんなの文が読める。

ー君の文もー

 次の日もその次の日も、一週間以上休んでいる。誰かが、先生に「(  )ちゃん大丈夫?」ときいていた。先生は「(  )さんは、かぜがよくならないらしい。」これもきっとうそはだろう。いや…嘘だ。僕には関心が持てた。

 そして、君がこなくなってから、2ヵ月がすぎた。あと少しで、卒業式だ。君は、来るのだろうか。まだわからない。

 3日後は、卒業式だ。3ヶ月もやすんでる君。3日後には、来ているだろうか。職員室が、ざわついていた。当たり前だろう。卒業式が近いのだから…。「(  )ちゃんが…」君の名前が呼ばれた。それ以降は、聞き取れなかった。ざわつきに押し潰されてい待った。

「おい、桜野どうした?」

「どうもしてません。失礼しました。」

僕はそう言って逃げた。

 そして、卒業式の日が、やってきた。僕が、告白する日君は来てくれるのだろうか…。

「これから、第35回卒業式を、はじめます。」

校長先生が言った。辺りを見渡しても、君はいない…。なのに時間は、どんどんすぎていく。

「桜野さん」

「はい」

卒業しょうしょをもらう時も、

「(  )さんは…いませんね」

君は、いなかった。

どうしていないのだろう。本当の本当にかぜなのだろうか。もう最後の歌になってしまった。

君は来ない。

歌を歌い終わった。

拍手がくる。けど、そんなことは、どうでもよかった。

君がいなきゃ意味がなかった。

 卒業式がおわって、いったん教室に戻って、プレゼントをもらった。オルゴールと、みんなの卒業文集だ。みんなは、早速見ていた。1人が泣き出した。1つのページで、止まっている。また1人が泣き出した。で、僕もそのページを見たとき泣いた。

『今まで、ありがとう

         (黒根 宮)

 6年生の皆さん。

 今まで、ありがとうございました。

 私には、生まれつき病気が、あります。

 どんどん重くなり、3ヵ月位休んでいる

 ことになっていますよね?本当はもうこの

 世にはいないんです。この卒業文集は、

 1月25日に書いています。この日私はあと

 3日と言われています。食欲がありません。

 もうしゃべれません。力も入りません。

 けど、まだ書けます。

 1月26日あと2日です。だ…ちか…が、は

 いら…なって…し…もうだ…さよう…ら』

もう君はいないのか…。もう…。告白したかったな。みんなは、

「後ろ見てみ?」

と僕にいってきた。

僕は、見た。また涙が出てきた。溢れてきた。

力ない字で…

『さ…くら…く…好き…ていい…たかったな…』

僕も好きだよって言いたかった。もう叶わない…けどね…。

 帰り道も泣いた。みんなも泣いていた。君のお姉さんにあった。

「宮がすきだったこでしょ?」

僕はなんと答えればいいか、わからなかった。

そんな僕の気持ちを呼んだかのように、

「いつも、あなたの話ばっかで…すごく、いい顔し…てたんだよ…」

今にも泣きそうだった。僕も君のお姉さんも…。

僕は空に向かって、ありったけのおもいで。

「僕もだいすきだよ!!!」

と、叫んだ。

 僕の書いたノンフィクションの小説。君は読んでくれるかな…。

☆☆☆

最後まで見てくれて、ありがとうございます。

卒業式。出会いと別れの季節です。

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