第85話 謎の少年

 デパートで買い物をしていた。

 まだ幼い妹を連れていた。


 何売場かも解らない店内を、うろうろしていた。

 1m四方のブロックのような、カラフルな箱が積み上げられ、乗ったり避けたりしながら歩いていた。


 店内に、突然、小太りの少年が入ってきて、私に向かって突進してきた。

 私はギリギリで避けたのだが、少年はブロックに衝突した。

 バチーン!!

 柔らかいゴムボールを思い切り叩きつけたような破裂音がして、少年の身体がグニャリと歪み、弾むように元にもどって、床に転がる。

 立ち上がると、ふたたび私に掴みかかる。

 私は、少年を背負い投げして、床に叩きつける、ふたたびバチーン!!と少年の身体は平たく伸びて元に戻る。

 少年は泣きながら、また私に掴みかかる。

 不気味な少年から逃れようと、私はブロックを登った。

 少年は、手足が短く、上手く登れない。

 3mほど下のほうで、喚きながら、私を睨み、暴れている。


 他の客は楽しそうに買い物をしているのに、なぜ私だけ…。

 少年の身体は、溶けるようにズルズルと形状を変えていく。

 ビチャッ…ビチャッと張り付く様に、少年は私に向かって登ってくる。

 あの少年は何なんだ?

 私は必死に異形の少年から逃げていた。

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