第22夜 アミューズメント
車でアミューズメント施設に入った。
1人で中をウロウロと歩く。
私の目的はなんなのだろう?
遊びに来たわけではないようだ。
パチンコ、パチスロに興じる大人達、アーケードゲームやクレーンゲームに興じる子供達、私は店内をただ歩いていた。
誰も居ない席に、スナック菓子が置いてある。
私は、ひとつくらいと手を伸ばす、目の前の男が私を睨む。
どうやらこの男の物らしい、私はチョンと触れた指をスッと引込め、男の脇をすり抜けた。
指にスナック菓子の粉が付いている、ペロッと舐めるが味はしない。
そのままウロウロと歩く私が探しているもの…それは金だ。
私は金を探している、いや盗もうとしている。
カメラの位置を確認するために私は歩いているのだ。
上手くいかないまま、フードコートに立ち寄る。
もちろんパン1個を買う金を持たない私は座るだけだ。
見回せば、皆、ハンバーガー、ラーメン、シュークリームを食べている。
ふと思い返せば、シュークリームを食べている人が多かったように思う。
中にはテーブルに4個もシュークリームを置いて食べている男もいる。
皆、私を見ているのだ、不審な目で、取られるのではないかという目で私を見ている。
私が欲しいのは金であって、シュークリームではない。
席を立つと生意気そうな中学生が私を睨んでいる。
シュークリームを食べながら、無性に腹が立って、私はテーブルの上にあったトレーで中学生の顔を叩いた。
そのまま椅子を散らかしながら倒れる中学生を睨みつけ無言で施設を出る。
車に戻ると、私の車の周りで暴走族が集会を開いていた。
だからあの場所には誰も車を停めてなかったのかと納得して、車に近づいていくと暴走族は丁度出発するところだったようだ。
私は車で彼らの後ろを走ることになるのだが、なぜか車内で彼らの会話が聴こえてくる。
「キミは集会は初めてですか、大丈夫ですよ、すぐに皆と馴染めますよ、ところでキミはどこで働いているのですか?」
「はい、初めてです、私は昼間、働いています」
英語のテキストのような会話が続いている。
最近の暴走族は、こんなにも大人しいのかと少しガッカリしながら、彼らとは反対の方へ曲がる。
会話が聴こえなくなるほど離れると、目の前には何も無いことに気付いた。
信号も無く、道路すら無く、対向車も後続車も無い。
路を間違っているのは私の方かと気づいてルームミラーを見ると、バイクのテールランプが赤く揺れていた。
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