第7夜 デパート

 坂道を登ると、潰れたデパートがあった。

 私は中へ入り、枯葉だらけのデパートを歩く。

 商品は何も無く、季節は秋なのだろうか、落ち葉を踏みしめるとカサッ…カサッと音を立てる。

 薄暗い建物を抜け展示場のような広場にでると柔らかな日差しが差していた。

 空は青空だが、どこか寂しげに思え、感傷的な気持ちになる。


 屋上へ向かい歩いていくと、階段をグルグルと四角く回るように歩き続けていることに気付いた。

 左へ…左へ…私は永遠に角を曲がり続ける。

 自分は登っているのか?降っているのか?解らなくなる。

 エッシャーの騙し絵のような階段を俯瞰で見ている自分の視点に気付く。

 そこを歩き続ける自分を見ている。


(もう、抜け出せない…)

 回り続ける自分の姿に涙した。

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