第171話
「ありがとうオフェリア……私をそんな風に思っていてくれて……なのに、不甲斐ないマスターでごめんなさい……だからこそ、私はあなたを私の呪縛から解放します……そして次のマスターが、あなたにとって良い女性でありますよう……祈るわ……」
「エレノア……」
「さよなら……」
『サブ・イグジスタンス・スティックに全ての能力を移譲します……カウントダウン……開始……』
「エレノア……なんだか眠くなってきました……私は、もっとあなたと一緒に……」
「オフェリア……私の愛おしいオフェリア……今までありがとう……愛してる……」
「エレノア……私もあなたを……」
「オフェリア……オフェリア……」
「エレノア……エレ……」
『最終移譲……完了……サブ・イグジスタンス・スティックに全ての能力が換装されました……以後、マスターと契約していたポーターは、休止モードへ移行……評議院、監理局の承認を経て完全休眠モード処置が施されます……よろしいですか……』
「休止モードへの移行を……承認します……」
エレノアの想いにより、オフェリアの「躰」は輝きを失い、代わって形成されたサブ・イグジスタンス・スティックに「命」の光が移されてゆく……。
「オフェリア……ありがとう……」
「さよなら……」
そっと胸元からオフェリアを離し、光を失った彼女をそのまま後ろへ優しく流すエレノア……流れ着く先に「希望」を託して……。
愛しみの雫が、宇宙空間を漂う……。
『全能力の移譲を確認……サブ・イグジスタンス・スティック……システム始動……マスターとのマジカルリンク相互締結開始……』
『締結……完了……』
『モード・ウィッチの完全開放を執行しますか』
「モード・ウィッチ……完全開放……」
『了解……各安全デバイス解除……モード・ウィッチシステム始動シークエンス開始……後方に魔法防壁を最大展開……システム終了まで、最大出力を維持……』
『各安全デバイス解除完了……魔法防壁最大出力展開完了……最終安全デバイス解除……これ以降の全ての変更は不可能になります……よろしいですか……』
「解除……承認……モード・ウィッチ完全起動」
『承認確認……最終安全デバイス解除……モード・ウィッチ……アクティブ……』
「モード・ウィッチ……アクティブ……」
エレノアの最終決意により、サブ・イグジスタンス・スティックは唸り声を上げ、妖しい色彩で発光する。
『空間歪曲……開始……』
エレノアの前方の空間が、歪み始める……。
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