第153話
『ウイルスプログラムが侵入しました……』
『…………』
『マジカルリンク解除コードを消去……緊急特別プログラムインストールを開始します……』
「シルフィ、大丈夫ですの……」
「少しくすぐったいですが、問題ありません……」
リンスロットの気遣いに、独特な表現で答えるシルフィ。
キャサリンから提供されたメモリを「あの屋上」でそれぞれがポーターの外部入力ポートに差し込む。
『プログラム遂行率……90……95……100パーセント……』
『緊急特別プログラムインストール完了……魔法評議院によるマジカルリンク解除コードは強制解除、消去されました……これ以降、魔法少女及びポーターのデータ採取、データ管理は、アメリカ合衆国政府に移譲されますが、よろしいですか……』
「くっ……抜け目ないですわね…」
ある意味「屈辱的」な音声と画面表示に、唇を噛むリンスロット……。
「まぁ、よろしいですわ……」
キャサリンから嫌味を言われる前に、承認のアイコンをタップするリンスロット……その行為を見届けたアンテロッティ、ローグ、コステリッツが続き、エリザベス、シフォン、ひばり、クラスメイト達も承認し、意思を示す。
『マジカルリンクが復旧しました……』
目に見えた副作用もなく、安堵の息を漂わす魔法少女達……それは、キャサリンや「冷静」を演じていたリンスロットでさえ同じである。
「ではシルフィ……行きますわよ……」
無味無感情な音声が終わるや否や、リンスロットはシルフィをどす黒い空に掲げ「解放」された歓びを謳う……。
「本当にいいんだな……こまっしゃくれ……」
「…………」
「もしかしたらもう、還ってこれないかもしれないぜ……」
「わたくしの事より、御自分の心配をされた方がよろしいのではなくて……」
「ふっ……言ってくれるねぇ……」
「還って来ますわ……必ず……そして、やらなくてはなりませんの……ロナール家の人間として……」
「んっ、なんか言ったか、こまっしゃくれ」
「何でもありませんわ……」
「りおんは来るかねぇ……」
あえてリンスロットの決意に反応せず、ひばりに問うキャサリン……既に全員が魔法少女となり、少し宙に浮き、ふたりの問答を見守る。
「全ては、彼女自身が決める事ですわ……」
切なげな表情で、無言のひばりに代わってリンスロットの言葉が斬り込む……。
そしてリンスロットは、サイレントモードで上空に舞い、上昇、加速してゆく……。
「ったく、無駄にクールだねぇ……」
後を追う様にキャサリン達が続く……。
「りおん……」
ひばりの想いを残し、誰ひとり欠ける事なく上昇してゆく少女達……。
生きて還る「保証」のない、スーパーダークエネルギーの待つ
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