第154話
「いやぁ、遅くなってゴメンひばり……先生達にあれこれ用事頼まれちゃってさぁ……」
「って……あれっ……?」
待つ者のいない教室に響いたりおんの声……。
空は更に黒く染まり、雪が舞い落ちる……。
「みんな……何処へ行ったんだろう……」
「りおん、机の上になにか置いてあるぞ……」
制服の胸ポケットから、顔を覗かせたステッキさんが、りおんに言う。
ステッキさんの言葉に従い、自身の机に歩み寄るりおん。
「ひばりからだ……」
置き手紙を取り、黙読するりおん……読み進めるにつれて、りおんの表情は険しくなる……。
「た、大変な事になってるよステッキさん……スーパーダークエネルギーの襲来はエレノア先生から聞いていたけど、みんなのマジカルリンクが解除されて、それを解く為にキャシーいや、アメリカ政府のいかがしい代物で……これって、規則違反じゃないのステッキさん……」
「しかも、評議院や監理局の承認も得ずに出撃なんて……」
「みんな、魔法少女の本能に従ったという事だ……りおん……」
「あのリンスが、規律を……」
「だからだりおん……全員のマジカルリンク解除など、評議院にしかなし得ない事……その頂点にいるのはリンスロットの父であり、その命令を受け、鏡花の後釜に座った姉のエレノアだ……リンスロットにしてみれば辛い立場だ……それ故にアメリカ政府の策略に乗ってまで魔法少女としての本懐を貫こうとしているのだろう……その想いをクラスメイト全員、エリザベス、シフォンが読み取り、覚悟し、納得して出撃したのだ……」
「リンス……」
「それで、りおんはどうする……」
ステッキさんの問いにりおんは応えず、置き手紙の横に添えられたメモリを見つめ、手に取る……。
「わかっていると思うが、今までとはレベルが違うぞ……プラチナスタークラスの含まれる予備役や退役組が出撃できない現状、この戦いでクラスメイトの何人かはもう還ってこれないかもしれない……その何人かの中に、りおんも含まれる可能性もある……それでも行くか……」
「そうだとしても、わたしは行くよ……ってか行くしかないでしょ……ひばりやリンス、みんなが覚悟を決めてるのに、わたしだけスルーはないよ……」
「まぁぶっちゃけ怖いし、死にたくないよ……まだこんな歳だし、やりたい事もたくさんあるし、恋だの愛だのと、一通りは経験したいからね……」
「でも……適当とはいえ、わたしも魔法少女の端くれだから……」
揺るぎない意志と「諦め」の感情が複雑に絡み合ったりおんの声と仕草……。
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