第130話
「それって、ジャパニメーションってやつかい……深夜、眠れない時に何気にテレビを観てたら色々とやってるなぁ……確かに海で水着姿でキャッハウフフみたいな事をどっかのアニメでしてたなぁ……まぁ、アメリカであんな事描写したら、コンプライアンス的にダメだけど……」
「そうそう、それだよっキャシー……」
りおんの瞳が、輝く。
「いやぁでもりおん……ひばりの言う通りもう11月も末だし、さすがに海はなぁ……」
「ふっふっふっ……甘いなキャシー……あるんだよ、日本には奥の手が……」
りおんが人差し指を左右に振り、してやったりの表情で奥の手を披露する……。
「海、水着回がダメなら、温泉回というオプションがあるのだよ……」
「温泉……そんな機会なんてないでしょ」
「それがあるんだよキャシー……福引きっていうイベントが……」
瞳を煌めかせるりおん。
「なんとか商店街の福引き最終日……思い出した様に福引き券を持っていたひばりがみんなを誘って行くんだよぅ……」
「りおん、少し落ち着いて……」
ひばりが妄想を制御しようとするが、りおんは止まらない。
「勿論、わたしやひばり、キャシーとリンス達はハズレのポケットティッシュ……そして意外や意外、最後に残った無欲なドロシーが、高級温泉旅館一泊二日クラス全員御招待の特賞を当てるんだよ」
「クラス全員分って、随分と都合がいいのね……」
半ば呆れるひばり……。
「あぁ、ひなびた高級温泉旅館……贅沢な料理、心を癒す温泉の湯……」
「女湯で繰り広げられる官能的な宴……いたいけな躰を絶妙に隠す湯気規制によって、コンプライアンスはクリア……しかし、不満を抱えた視聴者達はセル版をお買い求めになれば、全てが開放されるから、みんなのあられもない姿が……ぐふっ、ぐへへヘヘヘヘっ……」
「あぁりおん……またよだれが……」
もう自分で何もしなくなったりおんからハンカチを奪い、よだれを拭うひばり……。
「温泉かぁ……一度は行ってみたいもんだねぇ……これぞ、日本文化って感じだしな」
腕を組み、目を閉じ、感慨深げにキャサリンは頷く。
横に控えるドロシーが、一連のやり取りを「クスッ」と笑いながら見守る。
「んで、ひばり……あるよね、福引き券……」
「りおん、そんなものはないわよ……」
子供をあやす様に言い、ひばりはりおんの妄想を奈落の底ヘ突き落とす……。
「ですよねぇ……」
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