第129話

「青い海、白い砂浜、降り注ぐ太陽の光……」


「眩しい光に照らされて弾ける、いたいけな水着姿の少女達……」


「りおん、いきなりどうしたの……?」


「いやぁ、ひばり……やっぱり必要だよね水着回っ……」


「水着回って、テコ入れですか……」


「既定路線だよぅ……だいたい6、7話目あたりに夏だ、海だ、海水浴だぁって水着回を設定するでしょ……」


「まぁ、言われてみれば……」


「それでぇ、リンスとキャシーのマイクロビキニ被りによるセクシー対決なんてのはどうかなぁ、ひばり……」


「り、りおん……私達の年齢でマイクロビキニは倫理的にどうかと……」


「あっ、ひばりは純白のビキニできまりかなぁ……そして、希少価値のスク水要員はやっぱりコステちゃんかなぁ……いやいや、まさかのアンテやローグも捨てがたい……しかぁーしっ、予想外のドロシーって線もあり得るなぁ……あっひばり、スク水はスク水でもプレミアものの白スク水着ねっ……あぁ、みんなの水着姿を想像すると……ぐ、ぐへへへへへぇ……」


「りおーん、このハンカチでよだれ拭いてね」


「それでねりおん……妄想を膨らませるのはいいのだけれど……」


「うへぇ……?」




「もう11月よ……」


「うぇーっ……」


 絶望し、机に突っ伏すりおん……。


「そうなんだよねぇ、ひばり……もう11月も下旬かぁ……」


 りおんの嘆き通り、秋から冬に季節は移り変わろうとしている。


 未だ「普通」の少女のりおんに、吉報は届かない。


 りおんも、最悪の事態は想定はしている。


 マジカルリンク解除から、なし崩し的にまたしても転校、引っ越し……そして、記憶消去によって「魔法少女」の自分自身もなかった事に……。


 しかし、りおんはこのインターナショナルクラスに今日もあの高層マンションから登校し、ひばりを相手に「妄想」を湧き出す。


 魔法少女になれない事以外は、これまでと変わらない日常……。


 りおんの日常の為にエレノアがどの程度、評議院と駆け引きし、綱渡り的な交渉を行っていたのか……いなかったのか。


 騙し騙され……少女達にはまだ高度な処世術。




「りおん、ひばり……さっきから何を楽しい話をしてるんだい……」


「ちょっとテコ入れで、水着回の話をね……キャシー……」


「テコ入れぇ、水着回ぃ……なんじゃそりゃ……」


 大袈裟に両手を広げるキャサリン。


「いわゆる、伝統芸みたいなものよ……」


 ひばりが、助け船を出すと「あっ」と思い出したキャサリンは言い始める……。

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