第102話

「はい、そうですね月下美人さん……物わかりが良くて監理局としても助かります……」


 やや「わざとらしい」声色と笑顔で鏡花が、他の魔法少女とポーター達をも包み込む「圧力」をかける……。


 あの月下美人でさえ、説き伏せた。


 鏡花とは何者なのか……単なる監理局の「お人形」ではないとは薄々感じていた魔法少女、ポーター達は、知られざる鏡花の一面と背景を想像し、辿り着いた各々の結論に「震える」……。




「ひばりぃ……鏡花先生って、先生だよねぇ……」


 ふわふわな疑問を投げかけるりおん。


「うふふっ……ただの先生ではないのかも……」


 鏡花の素性を知ってか知らずか、意味深な答えでりおんを煙に巻くひばり。




「んじゃぁ、今回だけだからなっ……変なとこ触ったらセクハラで訴えるからなっ……」


「心配せずとも触らないさ……紳士だからね……」


「どうだか……」


「りおんさん、私達もそろそろ疲れました……お願いします……」


 魔法少女全員の気持ちを、エリザベスが抽出する。


「りおん……お願い……」


 ひばりが、月下美人をりおんに託す。


 左手にステッキさん、右手に月下美人を携えるりおん……。


「覚悟はいいね、おふたりさん……ひばり、あのネタでいくよ……」


「あれね……」


 完璧な意思疎通のりおんとひばり……。


「お待たせしましたダークエネルギーさん、そしてみなさん……」


 そう言ってりおんは両手を広げる……。


 息を呑む魔法少女、各ポーター、鏡花、監理局、ダークエネルギー……。






「叫べ! 創声合体っ、響け、アクエリオーーン……!」


 広げた両手を勢い良く閉じ、ステッキさんと月下美人をぶつける様に合体させるりおん……。


 ぶつかった瞬間、虹色の光を眩しく放ちながら「ふたり」は溶ける様に融合し、互いの心が重なってゆく……。




「こ、これは……」


「何なの、この感覚……温かい……」




『気持ちいいーーーーっ……!』


 ステッキさんと月下美人が、感涙にむせぶ。


「どう、おふたりさん……合体した気分は……」


 佇まいが堂々とし、強さを増した「棒」を満足げに眺めるりおんが訊く。


「これはこれで、なかなか……」


「わ、悪くはないんじゃないの……まぁ、今回だけだけどね……」


 割と、いつも通りなステッキさんに対し、何処か汐らしく「女」を見せる月下美人の反応に「クスッ」とひばりが笑う。


「いやぁ、壮観壮観っ……今回はステッキさんに配慮して、創聖もちゃんと創声に変更してるからね」


「う、ううむ……細かい気配り……すまんな、りおん……」


「いいよ……時折ふらっと出かけて内職してる事は別に怒ってないから……」

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