7*表へ出ろっ……!

第45話

「どうかしらりおんさん……このクラスの雰囲気に少しは馴染んだかしら……」


 最後列、転入生定番の「指定席」で、あれよあれよと昼休みを迎えたりおんに、窓側の隣の席に陣取る大和撫子を彷彿とさせる「女性」が丁寧に語りかけた……。


「いやぁ、急な転校でさあ〜、しかも外国人が多いクラスだし……でも、日本人がいてくれて良かったよぅ……」


 1年インターナショナルクラス……。


 生徒数……22名……。


 内、日本人は2名……。


 2年、3年に「この名称」のクラスは存在しない。




「もっと早く声をかけるべきだと思ってたんですが、同じ日本人の転入生に舞い上がってしまって結局、今に至ってしまいました……わからない事があったら、何でも私に聞いて下さいね……私、学級副委員長ですから……それと、このクラスの皆さんは基本、いい人達ですからね……」


「何より日本人同士、仲良くして下さいね……」


 黒く長い髪を、後ろで一本に束ね、ポニーテールとは異なる「凛」とした佇まいと、りおんの不安を包み、安心へと変換するしとやかな眼差し。


「私も、りおんさんが来てくれて心強いです」


 柔らかな笑顔が、りおんの心の硬直を解いてゆく。


 何でも聞いて……。


 鏡花には悪いが、その「態度」でりおんを否定しているかの様なリンスロットに色々頼るのは、気が引ける……。


 故に、彼女の「見越した」気遣いが嬉しいりおん……。




「はぁ、ホント助かるよぅ……えっと……」


「あらあら……私とした事が……」


「私は、ひばり……と申します……」


「これから、よろしくお願いします……」


「…………」


 動揺するりおん……。


「ひ、ひばり……」


「りおんさん……どうしたの……?」


 ひばりが、りおんに近づく……。


 しかし、拒絶するかの様に座ったまま後退りするりおん……。


「はあああっ……!」


「り、りおんさん……?」


「ま、まさか全国の裏番長の連合組織……全中裏ぜんちゅううら。その総帥のひばり様なのですか……」


 顔面蒼白のりおん……そして「はっ」と何かを感じ、教室内を見回す……。


「腹心の春日かすがは何処っ……裏番十人衆はっ……」


 恐れおののくりおん……。


「りおんさん、落ち着いて下さい……その、何とか組織の全中裏の私は総帥でも何でもありませんよ……」


「私は、老舗和菓子屋の跡取り娘ですから……」


「う、嘘だよっ……!そ、そうか……偽りの笑顔でわたしを騙して、蘭塾らんじゅくへ収容しようと無理矢理この学院に……」


 全てを「悟った」りおん……。

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