第24話

「りおん……気持ちはわかる。確かにスペースデブリを魔法によって消し去るという計画はない事もないが……それには各方面と段取りをつけておかないと……」


「え〜っ……」


「そ、それに私の一存で決められる事では……」


「でも時間ないよステッキさん……ほら、もうあんなに下まで落ちちゃってるし……」


「うっ……」


 追い詰められるステッキさん……反省文、ポーター仲間達の冷たい視線、雑巾一番搾りのお茶……いや、下手をすればポーター資格剥奪、そしてりおんも……。


 冷や汗が滴り落ちる……。


「大丈夫……ステッキさんとわたしなら、上手くいくよ……」


 その自信は何処から湧き出るのか……適当さ故のりおんの性質なのか……はにかむりおんにステッキさんの心も何故か少し落ち着く……。


「これで文句言う輩がいたら、魔法監理局に乗り込んで適当にやっちゃうからさ……ステッキさんをひとりぼっちにはさせないから……」


「ぐすんっ……り、りおん……」


 感涙に咽ぶステッキさん……そして決心した。


「やるぞ……りおん」


 腹の据わった声でりおんを見つめ、言った……。


「それでこそステッキさんだよ……やるっきゃない、やるっきゃない……」


「松本ぉ〜っ……」


 緊迫した事態に、精神状態が一時あらぬ方向に向かい、昭和のネタを被せ合うふたり……。




「き、気を取り直してと……周回軌道静止モードをキャンセルするぞりおん……私達も地球の周回軌道に乗ってスラッシュ弾を追う」


「わかった」


「モード解除……」


 流され、周回軌道に呑み込まれるふたり……。


「ダークエネルギーさんっ……ちょっとそこで待っててね〜」


 流され際にりおんがお茶目に言う……。


『し、しょうがないな……』


 律儀に侵攻を止めるダークエネルギー。




 凄まじい速度で落下し、不安定に上下左右に振られていたりおんも、ステッキさんのサポートによる自律姿勢制御魔法を駆使して、躰の安定を保つ。


「りおん、加速するぞ……」


 安定を確認したステッキさんは、加速シークエンスを開始し、スラッシュ弾を追う。


 その間にステッキさんは、破壊していいデブリと、各国が運用する破壊してはいけない人工衛星等をセレクトして「攻撃」に備える……無論、計算に没頭し冷や汗が滴る彼に、りおんとやり合う余裕はない。




「あったよ、ステッキさんっ……」


 高揚するりおんの声。


 その時点で、地球を一周したりおん達……。


「ふうぅ、もう少し遅れていたら危なかったな……セレクションは終わった。このままの速度で攻撃シークエンスを開始するぞりおん……」


「いつでもいいよ……」

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