第25話
「スラッシュ弾を創れ……」
「はいよっと……」
同じ大きさの「元気玉」が、さっきとは比べものにならない早さで創られ、ステッキさんの先端に輝いている。
「弾道計算クリア……セレクショントレース機能オン、姿勢制御誤差補正……リリースタイミングカウント開始。魔法防御シールド展開……」
何かと「忙しい」ステッキさん……。
「いいかりおん……先端のカウンターが赤くゼロになったらリリースだ」
「うん……」
息を呑み、ステッキさんを持つ手に力と想いがこもる。
『リリースカウント開始……10、9、8……』
女性アナウンスが、冷静に時を刻む。
「りおん……慌てず、急いで、正確にな……」
「ふふっ……」
ここで「それ」を出すか……りおんの口元が緩んだ……。
『3、2、1……0……』
カウンターが、赤くゼロを刻む。
「今だっ!りおん……」
「不浄なる存在と、偽りの輝きを薙ぎ払い、真の蒼き空を取り戻せっ……現れよっ、バーニングエクストリームスラッシャーーーーッ!」
足元から煽る様なアンダーストロークでバーニングエクストリームスラッシャーを解き放つりおん。
りおんの勢いと引力がかけ合わさって、スラッシュ弾を尋常ではない速度で追いかける新たな元気玉。
「誤差なし……もうすぐ目標と衝突するぞ……」
「りおんっ!」
「わかってる……防御シールド最大っ……!」
衝突による眩い閃光……大気を裂く超重低音が響き渡る……閃光は地球全体を覆ってゆき、デブリの数だけ瞬間、星の如く煌めき、消える……残り香として光の環が数秒間だけ地球に生まれ、消失する。
りおん達に身体的ダメージはない……。
防御シールド、姿勢制御機能は完璧に作動し、ステッキさんがセレクトしたデブリのみを破壊、蒸発させた……しかし、このあり得ない現象は地球上に住む人々に認知され、問題となる事は明らかだが、ステッキさんに焦る様子はない……。
「ちょっとの間だったけど、キラキラ輝いてたね」
叙情的に語るりおん……。
『デブリ除去率100パーセント……人工衛星等に損害……なし』
「ふぅ……ギリギリセーフだったな」
「そうだねぇ……」
あの「輝き」を記憶に留めようと、生返事のりおん……。
「感銘に耽るのもいいが、そろそろ本命を叩くぞりおん」
「でも、これってバレバレだよね……どうするの……?」
「心配ない……策はある……」
意味深にステッキさんは言い、りおんもそれ以上は聞かず、ふたりはダ一クエネルギ一の待つ高度まで向かう。
「いやぁ、ダ一クエネルギ一さん……お待たせしちゃって申し訳ありません……テヘッ」
『いや、逆に頼みますよ……ホントに……』
やり取りの後、侵攻を再開するダ一クエネルギ一。
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