4*あっ……。
第21話
「元に戻ったね……」
笑顔のりおん……。
「でもぉ、このスカート丈短過ぎない?……パンツ見えちゃうよ……」
誰もいない空の世界で辺りを見回し、右手で「そこ」を庇う……。
「それは、男のロマンなのだ……りおん……危なくなったら光規制が入るから問題はない……まぁ、いろんな状況によってはその規制もないかもしれないが……そこらへんは曖昧なのだよ、りおん……」
「なんかアニメ化前提の話してるけど、ないからね……」
「あくまで可能性の話だ、りおん……スカート丈の短かさも主人公補正モードの一部だと思ってくれ」
「わかったよ……」
「さぁ、ここからが本番だ……もっと上に行くぞ……」
「ここで敵をやっつけるんじゃないの……?」
「りおん……敵は
高度1,500キロ……中軌道領域……。
国際宇宙ステーションが「遥か下」で地球の周回軌道を回っている……。
風の音、雲の息遣い、人間の営み……それら全てが遮断された無音で寂しい世界……。
怖い……その自身の感情を、無理矢理に「寂しい」と変換する事で自分を保っている様に見えるりおん……。
「寒い……」
そう言えて、感じ、普通に呼吸しているりおんの躰は実際、魔法によってサポートされている……。
目には見えないが、直径3メートル程の球体の中で、酸素供給、温度管理が適切に行われてりおんを保護しており、魔法少女の定番装飾である魔法陣も、展開を始めている……。
りおんの腰の辺りを中心軸として水平に、土星の環に似た基礎魔法陣が形成される。
その魔法陣のデザインは、魔法少女たる伝統や作法に則ったものではなく、独創性に富んでいて、それを「適当」と見る者もいるだろう。
適当、洗練、キュートさが混ざり合う魔法陣は、一定の周期で模様が変わってゆく……花柄、幾何学、デジタルカウンター……他の魔法少女では見られない独特な風景。環自体が回転しないのも特色であり、いい加減さとアヴァンギャルド……りおんの魔法少女としての意志及び展開される魔法陣は、古式ゆかしさを重んじる魔法少女達からは疎まれる可能性は高い。
しかし時代、世代を重ねてゆけば、りおんやもっと個性的な魔法少女が誕生してもおかしくはない。
異質であっても、それらの魔法少女の存在は尊重されるべきなのだから……。
「ステッキさん、魔法少女なりたてのわたしが言うのも何だけど……」
「どうした、りおん……」
「この魔法陣、チカチカしてちょっとウザいよね」
「えっ……宇宙空間で普通に息してるとか、地球が綺麗だなぁとかじゃなく、最初の感想がそれか」
「う〜ん、確かにあり得ない状況だけれど、なんか動きづらいというか……」
「仕方がないな……サイレントモード起動……」
りおんの「わがまま」にステッキさんが応じると、すうっと魔法陣が消える……。
「おおぉっ……スッキリしたぁ。いわゆる光学迷彩ってやつだね……」
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