第20話
天空を儚げに眺めるりおん……。
りおんの裸体に、魔法少女たる「装飾品」が次々と施されてゆく……ただ、いかんせん「在庫品」な為に、寄せ集め感と煌びやか不足は否めない。
上手くまとめた……という表現が適切かもしれない……。
奏でられていた音楽も終了し、輝いていたりおんも元の状態へ戻り、変身が終わった……。
「こんなものかな……」
魔法少女になった自分を見て、あっさりとした仕草のりおん……。
「でも……何故にチアガール風コスチューム?」
「すまないりおん……いかんせん、急いで探して見つかったのが、これだったのだ……もう少し時間があれば色々と手を尽くす事もできたのだが、今はこれが私の精一杯だ……」
「許してくれ……りおん……」
申し訳なさそうにステッキさんは詫びた……。
可愛らしい髪型とメイク……煌びやかな色使いの、ちょっぴり背伸びしたセクシーなコスチューム。
小憎らしいアクセサリーと、派手な音楽に重なる大胆かつ繊細なカット割り……そして、カッコ可愛いキメポーズ……。
察するに、魔法少女の変身とはそういうもの。
小首を傾げているりおんを、もっと「魔法少女」らしく可愛く仕立てられなかったものかと、ステッキさんは自らを責める……。
魔法少女は憧れの存在……選ばれし少女の究極なる姿は、美しい偶像にして、崇拝の対象である。
それなのに……「唇」を噛むステッキさん……。
「どうしたの……さっきから黙って……」
「うむ……その……」
「わたし、別にがっかりしてないよ……まぁ、在庫品にしては案外、可愛い感じじゃあないかなぁ」
りおんの気遣いの言葉……。
「それに、あまりにも魔法少女ってコスチュームも、わたしには似合わないと思うし……」
「そ、そう言ってくれると……」
「わたしも、ネタを使ったかなり適当な変身しちゃったりしてステッキさんに苦労かけてるよね……わたしに似合う様に見繕ってくれたんだね……嬉しいよ……」
ステッキさんを見つめ、はにかむりおん……。
「ううっ……りおん……」
感極まるステッキさん……。
苦労の跡は伺える……淡いピンク、濃いピンクを上手く組み合わせ、魔法少女っぽくアレンジの効いたチアガールスタイルのトップとスカート……過剰ではないにせよ、ヘソ出し要素もクリアしている。
肩にかかる通常のりおんの髪型も、幼げな少女の如くサイドがお団子風に纏められ、リボンもあしらわれている……。
「しゅ、主人公補正モードでカバーしているからな……」
少し強がったステッキさん……。
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