第13話
豪雨はやむ事なく、りおんの躰を容赦なく濡らす……ブラウスが肌に密着し、インナーが透けて見え、熟れたりおんの躰が
りおんはそのまましばらく歩き続け、名前も知らない雑居ビルのエントランスに吸い込まれ、しばしの雨宿り……。
壁にもたれたりおんは、無意識にスマートフォンを取り出し、見つめる……。
「もっと早く……こうすれば良かった……」
儚げにりおんは呟いた……。
スマートフォンの画面には、人妻専門交流サイトの登録承認画面が表示されている……。
りおんは既に基本的な情報入力は済ませており、後は最後の決断をするのみ……。
「わたしは疲れたわ……あなた達に愛を注いでも、想いは伝わらない……だから、愛する事をわたしは放棄する……」
「わたしは……愛される存在になる……それが、かりそめで偽りの愛であろうと構わない……」
「僅かな時間でも、ほんの一瞬でも、彼らはわたしに愛を注いでくれるのだから……」
「愛に溺れ……愛に堕ちる……」
「だから、あなた達も好きに生きればいい……わたしも、自らの魂の声に従う……」
「さようなら……わたしが愛した家族という虚像」
「お帰りなさい……本当のわたし……」
りおんは画面をタップした……「女」としての新たなる旅立ち……。
程なく、おびただしい数の新世界へ導く返信メール音がりおんの鼓動を早め、魂を熱する……。
「ふふっ……こんなに近くにあるじゃない……わたしの幸せが……」
適当に選んだ返信メールのアドレスをタップしたりおんは、快楽の声を漏らし、私欲の瞳で己の行く末を見据え……火照る魂をはにかみ、躰を捩らせた……。
「なんじゃあこりゃぁぁぁぁっ!」
「うっ……」
「何ですか……これ?」
「百歩譲って1番は許してあげるけど、残虐少女って何?……凛寧 桃迦って誰なの?」
「いや……それは……」
「もはや魔法少女じゃないよね……もう闇世界の基本、鬱展開満載のお話だよねっ……」
「やたら作画クオリティ高かったし……いっそわたしの物語よりも、この作者さんはこっちの話を書いた方がPVや星がたくさん得られるんじゃないの?……桃迦ちゃん可愛いけど……怖いよ。可愛い顔して……ある意味トラウマだよっ……」
「りおん……すまん……」
「またマニアックなネタで誤魔化してないで、こっち向きなさいよ……」
「ひゅ……ひゅひゅ……」
空口笛で逃げるステッキさん……。
「くっ……またそうやって……んで、3番だけどステッキさん……」
「中1になったばかりの女の子になんてもの観せてんの!……わたし、あんな未来いらないよっ!」
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