第二話 雇い主

 デイラン、マックス、アウル――三人の幹部で傭兵の活動について話し合っていると、舎弟が駆け込んできた。


「デイランさん! ソミアの店に客が来たんですけど……」


 アウルがむっとした顔をして、指を鳴らす。

「おい、わざわざそんなことを言いに来るな。

そいつが変態だったら呼べ。歯の何本かも折って、叩き出す」 


「……アウルさん、違うんです。

傭兵部隊の隊長に会わしてくれって言われて」


 デイランはマックスとアウルと顔を見合わせ、

 デイランは聞く。


「そいつに、見覚えは?」


 舎弟は「いや……ありません」と言う。

 各商売場における伝令役には物覚えや機転が利く人間をあてている。

 証言は信頼出来る。


「そいつは従者か?」


「地味なんだけど仕立ては良い服装でした」


「代理人なのか?」


「そう言ってましたけど……」


(身ぎれいな代理人?)


「馬車は?」


「聞いたんだけど、置いてきたと……」


「会わせてくれと言ったのか。屋敷に来いとかじゃなくてか?」


「はい」


「ボソルの宿に連れてきてくれ」


「分かりました」


 舎弟は駆け去る。

 デイランとアウルは立ち上がる。

 アウルは護衛役だ。


 マックスは言う。

「くれぐれも用心を怠らないようにね。私は会見場の周囲を監視しておくから」


「頼んだ」


「分かったわ。……気を付けて」


                ※※※※※


 ボソルの宿には仕掛けがある。

 宿の二階の行き止まりの壁板を外すと隠し通路がある。

 そこを伝うと客を通した部屋を壁越しに移動でき、室内を観察できる。


 デイランは部屋にかけられた絵画ごしに客の姿を見守る。


 男は中年くらいの年齢で、室内を、静かな灰色の眼差しで眺めている。

 茶色い短髪に、四角四面の顔。

 物腰には余裕があり、出された飲み物に手をつけている。

 安宿には不向きすぎる落ち着いた雰囲気がある。


(貴族? いや、貴族がわざわざ自分から足を運ぶか?)


 これまであって来た貴族たちは、頭にあるのは爵位のことだけ。

 爵位のない人間は傅き、這い蹲り、へりくだって当然という意識がある。

 しかし客からはそういう雰囲気はない。

 そうかと言って、主人の伝言を伝えに来たという小間使いにしは

まとう雰囲気が重厚だ。


(……話せば分かるか)


 デイランは隠し通路を抜けると、アウルと共に部屋の前に来る。

 扉をノックすると、「はい」という声が聞こえた。

 扉を開けると、中年男が立っていた。


 デイランは口を開く。

「俺はデイラン。俺が傭兵隊の隊長を務めている。

こっちはアウル。護衛だ」


 中年男はアウルに目を向ける。

「彼はすごい筋肉だな……双頭鍛えてるのか」


「ドワーフのハーフだ。それもあるんだろう」


「ほぉ。ドワーフの……」


 ドワーフは人間よりも背丈は低い分、筋肉の発達がいちじるしいのだ。

 アウルは人間とドワーフの良いどころ取りで、背丈も高い。


 アウルは鼻を鳴らした。

「おっさん。俺はドワーフのハーフだ。何か文句があるかっ」


 すごまれた中年男は落ち着き払って、「いや」と否定した。

 相手の反応があっさりなので、アウルの方が肩すかしを覚えたらしく、「そ、そう……かよ」と口ごもる。


 男はデイランに改めて向き直る。

「私はマリオット。――二人とも、ずいぶん若く見えるが……」


「傭兵に適齢期でも?」


「いや、申し訳ない。

私が知っている傭兵隊長はどいつも中年くらいでもっと、強面こわもてだ」


「良いんだ。さあ座って」


 握手を交わし、椅子を勧める。

 デイランも座る。

 アウルは出入り口に仁王立ちで控えた。


 デイランは言う。

「我々のことをどこで?」


 マリオットはおかしそうに口元を緩める。

「どこで?

君たちは貴族にのべつまくなしに当たって自分たちのことを噂にしているだろう。

死ぬほど暇な貴族たちは酔狂な君たちのことを面白おかしく吹聴している」


 デイランも微笑んだ。

「その噂を耳にしたのはあんたか?

それともあんたをここへ寄越した人間か?」


「どちらも。

君たちは大層、破格な条件を突きつけているらしいな――耳にした噂に尾ひれがついれいなければ……」

「自給自足ができるだけの豊かな土地」


 マリオットは苦笑を漏らした。

「破格も良いところだな。金ではなく、土地か。

どうやら噂は本当だったらしい。もう一つ聞いた。

君たちは傭兵稼業を始めたばかりだと。それは?」


「本当だ」


「なら君たちは何を雇い主にしてくれる?

命をかけて戦う、か?


「必ず勝利を届ける」


 マリオットは眉を持ち上げた。、

「勝利? その根拠は? 戦争を知らないのだろう

 君たちが不良少年らを集め、裏社会で瞬く間に頭角を現したことは知っている。

だが傭兵が戦うのは国だ。ちんぴら相手の喧嘩とは訳が違う」


 アウルがこめかみに青筋をたてて怒鳴る。

「何だとっ!?」


 デイランはそれをやんわり止める。

「やめろ。そこにいろ」


「……だ、だけどさ」


「アウル」


「……へい」


 すまない、とデイランは言い置き、言葉を続ける。

「暗殺、相手の裏を欠く、金勘定……。

国がやることと何が違いがあるか? 戦争はやってるさ。もう何人も仲間を失っている。

傭兵じゃないぞ。家族である仲間を、だ。

むろん報復をする。相手は大きな組織だ。怒りに刈られる仲間を御し、優位な和平で決着をつけるよう策を巡らせる……。

戦争は規模がでかいだけの話だ。

それに、それを言うなら、家柄だけにしがみつく貴族どもにこそ何が出来る?

連中にしても戦争は子ども時分に童話の中で知ったり、歴史の授業で習ったりする程度のものだろう?」


「これは失言をしたようだ。申し訳ない」


「構わないさ。

まあ、客観的に見て俺たちも大概である自覚はある。でもあんたも、そうだろ?」


「そう、とは?」


「山師のような新参者と会ってる……。

あんた、もしくはあんたの主人も俺たちみたいなのに会わなきゃならないほど切羽詰まっているということじゃないのか?」


 マリオットはうなずく。

「その通り」


「それからもう一つ、俺たちの売りがある」


「それは?」


「忠誠心」


「そう。俺たちは一度、従った主人以外には靡なびかない」


「だが君たちは傭兵なのだろう。一人の主人に付き従う傭兵なんて聞いたこともない」


「聞いたこともない。だからこそ、立ち上げる意味がある。

誰からも引く手数多の傭兵はいるだろうが、次の戦いでは敵になるかも知れない……。

それじゃあ、あんたらだって困るだろ。

だからこそ俺たちは忠誠心を売り物にする。無論、報酬は他の傭兵とは比べものにならないくらい高いけどな」


 デイランは、男を見る。

「――で、どうする?」


「私に決定権はない。私の主人がお前たちを雇うかどうかを決める」


「どこへ行けば?」


 マリオットは懐から金の蝶の細工が掘られたカードを差し出してきた。


「では、明晩、ファルセノ歌劇場の貴賓室きひんしつで。

そこで私の主人がお会い下さる。

無論、服装はそれなりに整えて来てもらいたい」


 カードを受け取る。

「分かった。送ろうか?」


「いや、結構だ」

 ラウルが身体をどかし、マリオットを通す。


 マリオットが部屋を出て行くと、アウルは吐き捨てる。

「何だ、あいつは……」


 デイランはカードを眺めながら呟く。

「面白そうな相手だってことは分かった」


                  ※※※※※


 デイランたちが酒場で過ごしていると、マックスが現れた。

 彼女は話し合いの場周辺の監視だけではなく、帰宅後のマリオットの足取りを密かに折っていたのだ。


 デイランは手を上げて、マックスに合図をする。

「ご苦労さん。どうだった?」


 マックスはにこりと笑うとデイランの飲みかけのビールを掴み取ると、ぐっと一気に空にした。


 デイランはおかわりを注文し、マックスに聞く。

「マリオットはどこに?」


「マリオットって言うの?

 彼、かなり用心深いわね。尾行をかなり気にしているみたいだし、同じ道を行ったり来たりしたり――まあ、でも私の目は誤魔化せないけどね。

彼の馬車も目立たない場所に置かれていたわ。

馬車は王城へ入っていったわ」


 デイランは眉を顰ひそめた。

「王城……」


 アウルは腕を組む。

「ってことは、あのおっさん、貴族か」


「まあ、明日会えば分かるさ。

マックス、明日つきあってくれ」


「どこに?」


「歌劇場だ」

 マックスは怪訝な顔をした。

「歌劇場……?」


                   ※※※※※

 翌日。

 空に稜線もくっきりとした満月が輝く頃。


 デイランはマックス、アウルと共に街の中心にあるフォルセノ歌劇場へ向かった。


 馬車を雇い、服装もしっかりしたものを仕立てた。

 デイラン、アウルは燕尾服で、マックスは赤いドレス。


 歌劇場の表玄関の車回しには、馬車の列が出来る。

 そして着飾った貴族やその夫人たちが談笑しながら


 そこからは帝国との戦争が近いという気配は微塵も感じられなかった。

 係員によって馬車の扉が開けられる。

 係員に手を取られ、マックスは流麗な所作で下り、

 デイランやアウルもそれに続いて、劇場へ入る。


 賑やかな玄関ホールを抜け、脇の階段を上がる。

 係員に例のカードを見せると、係員は戸惑った顔をして「お待ち下さい……」と奥へ兎下がっていった。


 アウルが顔を顰しかめた。

「まさか、あのおっさんに騙されたんじゃないのか?」


 しばらくして先程の係員が戻ってきた。

「失礼いたしました。どうぞ、奥のお席へ……」


 係員に案内された先には装飾のされた重厚な扉があった。

 その面には兵士が護衛に当たっている。

 兵士たちはデイランに気づくと、さっと左右に分かれて、扉を開けると短い通路があり、その先が張り出した貴賓席だ。

 そして通路を抜けると、出迎えたのはマリオットだった。


「デイラン殿。よく来て下さった。

――そちらの美しいご婦人は初めてですね」


 マックスは鮮やかな口元を微笑ませる。

「マックスと申します。デイランの付き添いで……」


 デイランはうなずく。

「左様ですか」


 デイランは言う。

「それで、あんたの主人は?」


 マリオットは座席に目をやる。こちらからは背もたれしか見えない。


 マリオットはそっと呼びかける。

「――陛下。

デイラン殿方がいらっしゃいました」


(陛下?)


 座っていた人物が立ち上がると、マリオットがその場に片膝を付く。


 まだあどけなの残る顔立ちに、さらさらとした金髪。その青い瞳には品のある光をたたえていた。

 少年と言ってもよい男が言う。

「よくいらっしゃいました。デイラン殿。

私は、ロミオ・ド・アリエミール」


 小さな声でアウルが、「まじかよ……」と独りごちる。


 デイランは聞く。

「俺たちも傅いたほうが良いかな、陛下」


 ロミオは苦笑して、首を横に振った。

「その必要はありません」


 デイランはマリオットを見る。

「本当に、あんたの主人なのか?」


 マリオットがうなずく。

「まさしく」


 デイランは眉を顰める。

「あんたが傭兵を? そんな細かい作業まで王様の仕事か?」


 ロミオは「違います」と言った。

「私の噂をご存じですか?」


「いつも歌劇に入りびたりだって話は聞いた」


「その通りです。

私が執務室にいなくとも国は回るんですよ。不思議なことに。

無論、報告は上がりますが、全て事後承諾です」


「それで、観劇か」


 ロミオは口の端を持ち上げ、微笑んだ。

「ええ……。ここにいると分かるんですよ。

誰と誰が親しいのか、誰と誰が反目しているのか、宮廷の誰の派閥に所属しているか……」


 デイランは笑う。

「そっちは見ていたのか」


「無論、舞台も見ます。でも客席の方も飽きません」


 貴賓席から見下ろすと、劇場が一望出来る。

 この席に座れるのは貴族の中でもほんの一握りか、王族か。


 他の貴族たちは下の席だ。

 そこでは舞台の始まるまでの間は貴族たちの社交場の役目も果たしている。


 長話に興じている人間、せかせかと色々な人と話をする人間、女性の物色に余念の無い人間……様々だ。


 ロミオは続ける。

「ここにいると分かるんですよ。いかに、王という存在は飾りなのかが……。

ここにいる人間は形式上、私の忠実な家臣のはず。

だが、誰一人として宮廷では私の味方にはつかない……。

もうじき帝国との戦争になります。ご存じですか?」


 デイランはああとうなずいた。

「だから、傭兵稼業を急いで立ち上げたんだ。この戦を逃すと、国が滅びそうだからな」


 マリオットが目を瞠る。

「デイラン殿、何と言うことを……」


 ロミオがそれを制する。

「確かにあなたの言う通りだ、デイラン殿。

近々行われる戦争に、我が国は敗北するでしょう。

誰も言わないが、心の底ではみんな分かっている。それほどに我が国は衰えている。

王家を守る貴族たちも、いかにこの泥舟から逃げだそうと躍起になっているでしょう

そのような状況で勝利など掴めるはずもない」


「それで傭兵募集か?」


「手駒も何も持たず、王として戦に臨む訳にはいきませんから」


「だが王家には近衛兵がいるだろう」


「彼らは貴族の子弟ですからね。あてにはなりません。

私は国の舵取りがしたい。しかしそのままでは私の言うことなど誰も聞かない。

今度の戦で私は自分の力で勝利したいという実績が欲しいんです」


「そんなに我が国の王が熱心だとは気づかなかったな。

だったらどうしてこれまで何もしなかった?」


「……私が何かをしようとすれば、恐らく、私は無事ではいられないでしょう」


「殺される、ということか」


「そうです。理由は後からでっちあげられます。

精神錯乱、流行病、謎の奇病……。

飾り物として戴いた私など簡単に幽閉できる」


 ロミオは遠い目をした。そこに悲しみの色が過ぎる。

「……私の母は殺されました。

侍女に毒を盛られたのです。調べた所によると母からひどい仕打ちを受けたと言うことでしたが、母はそのようなことをするはずがない。

心優しい人でしたから。

そして侍女はその後、謎の死を遂げました。対外的には自殺という処理でしたが、詳しいことは私も知らされてはいません。

無理矢理に事を荒立てることも出来ましたが、軽率な振る舞いで私は地位を失う訳にはいかない……。母を殺した連中に復讐を果たす為にも。

マリオットは、母の兄……私の叔父です。

今や宮廷では、叔父だけが私の唯一の味方だ。

私には一人でも多くの味方が必要なのです。だから、今度の戦に勝つ為には絶対勝利しなければならない。


……デイラン殿。あなたは勝利を約束すると言いましたね」

「ああ」


「それは今も確かですか?」


「無論だ。

だが一つ頭の片隅において欲しいことがある」


「他に条件が?

マリオットからは聞きませんでしたが……。何でしょうか。仰って下さい」


「俺たちの仲間には、エルフやドワーフのハーフがいる。

あんたはそれでも大丈夫か? それを最後に確認させてもらいたい」


 すると、ロミオは笑った。

「安心して下さい。私にはそのような偏見は一切ない。

そちらの逞しいドワーフ殿も、美しいエルフ殿も、どちらに対しても……です」


 アウルが破顔した。

「何だ、こいつ、話が分かるじゃねえか……ぐひっ!?」

 マックスに臑を蹴られたアウルは涙目になって蹲うずくまる。


「馬鹿。あんたは黙ってなさいよ。

――陛下の寛大な心を嬉しく思います」


「私もあなたの会えたことを嬉しく思います。レディ……」


「マックスです。陛下」


「レディ、マックス」


 ロミオは差し出されたマックスの手をそっと取ると、手の甲に口づける仕草をし、アウルの方を見る。


「そちらの勇者は何と?」


 デイランが言う。

「アウルです」


「よ、よろしくな、王様よっ」


「アウル殿、よろしくお願いします。他の方々も歓迎します。

戦にさえ勝ってさえ頂ければ。あなた達を……

そういえば、あなた方、傭兵団の名前をまだ聞いていませんでした。

いつまでも傭兵という言い方は失礼ですしね」


 デイランは答える。

「“虹の翼”だ」


「“虹の翼”? 失礼ですが、あまり強そうな名前ではありませんね。

他の傭兵団は、“何者をも飲み込む蛇の王ヨルムンガンド”であるとか、

“群狼の爪牙そうが”、“髑髏大隊どくろだいたい”とか、いかにもな名前だというのに」


「虹の翼は俺たちの背骨……主義だ。

どんな生まれの人間でも受け入れる。エルフ、ドワーフの血が入っていようとも、どんな階層の生まれであったとしても。

俺たちと共に生きる覚悟がある奴は全員、仲間――そういうことだ。

軍旗にも採用している」


「なるほど。ただ単純に、強いばかりの傭兵団ではないということですね。

……それは、私も見習わなければいけないことですね。

私もエルフやドワーフと共に生きるべしと昔から思っていましたから。

では契約の証に……

――マリオット」


「はい」


 マリオットは懐より取り出した羊皮紙を差し出す。

「土地の譲渡状です。

王都の西端にある王領のナフォールという場所です。

あなた方の仰っておられた条件通り、自給自足できる肥沃ひよくな土地です」


 受け取ったデイランは、マックスに羊皮紙を渡す。


 マックスは目を通してチェックを終える。

「問題ないわ。ナーフォールが王領だというのも確かよ」


 デイランはうなずく。

「分かった。あんたに雇われることにしよう」


 ロミオは安心したように頬を緩める。

「分かりました。受けて戴きありがとうございます」


「兵の指揮は俺がとるが、問題ないか?」


「ええ。用兵に関してはお任せします。

戦が行われるまではマリオットを挟んで連絡を取ります」


「分かった」


「……では折角です。みなさんで劇でもいかがですか?」


「もちろんです。陛下」

 ロミオはにこりと微笑んだ。


                   ※※※※※

 舞台が終わると、デイランたちは劇場を後にした。


 アウルは欠伸をする。舞台で演じられている間中、ずっと眠っていたのだが、まだ眠いらしい。

「なあ、王様に雇われるなんて大丈夫かよ」


 マックスが「へえ」と驚き混じりに言う。

「あんなに褒められて、あんたのことだから、王様に雇われるとか最高だなって

言うと思ったけど……」


「ま、まあな。悪い奴じゃないっていうのは分かったさ。良い奴か悪い奴かで言えば、良い奴なんだと思う。

でもそれと、頼りになるかどうかは別だ。

あいつ、いかにも頼りなさそうだったじゃねえかよ。

戦争にそもそも勝てんのか?」


 デイランはもちろんとうなずく。

「約束した以上は、な。そもそも次の戦いで負ければ、この契約も意味がない」


 アウルは曇らせていた表情をすぐに切り替えた。

「そうだよな! 土地ももらえたし! これに勝てなきゃしょうがねえもんなっ!」

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