最終話 料理をレシピ通りに作れない俺が部活を作った結果
「あーアリー。ちょっと脚立もってって」
「はい!よろこんで」
「やけにいい返事ね」
「愛澄お姉さまの申しつけなら!」
あまりにもなじみすぎじゃないか?なんだよ愛澄お姉さまって。お前の姉じゃないだろ。
静かに部室を開けた俺は、早くも部室でくつろぎ始めている部員の面々に何も言えず立ち尽くしていた。
「ねぇ、愛澄さん何やってんの?」
スカートで胡坐をかいて煎餅を貪る。という、何もかもが最悪な姿で小夜彦が言った。
「監視カメラと盗聴器の点検だって~」
猫のように丸くなっている緩羽が興味なさげに言った。
「なんて堂々とした犯罪現場なんだろう…」
「そっちこそ、何堂々と女子の制服着てんのよ」
サイコパスの目が女装男子高生に向いた。
「目覚めた!」
しかし、そんなサイコパスの目力を打ち消す程、希望に満ちた明るい瞳で女装男子高生は言う。
「いいでしょ似合うし」
「たとえ似合っててもそれ一般的には変態行為って言うのよ。」
え、お前がそれを言う?
「あ、変態と言えば、あずみんパンツ見られてるよ」
「は!?」
「ゆ、緩羽お姉さま!なぜバラすのですか!」
「セクハラだからだよ」
本当にこの後輩油断も隙も無いな。
「愛澄お姉さまの部長に対するセクハラには黙認しているのに!」
「アンタのと一緒にしないでくれる?私のはもっと崇高な愛なの!」
「ストーカーが偉そうに…」
「小夜君なんか言った!?」
「言ってません」
「っていうか私の下着みるとか良い度胸どころの話じゃないわ。金払いなさい。」
「そ、それは金さえあれば見放題ということですか…!?」
「ぶん殴るわよ」
「え、下着見せるだけで金になるのか…」
「小夜ちん今の姿だったらいけるんじゃない?アリーに見せてきなよ」
「ふざけんなですよ!!あなたの場合一番見せたら台無しになる場所でしょう!?」
っていうかなんだここ。変態のたまり場?犯罪現場のトリプルドッキング?
待ってくれ。
信じない。信じないぞ。ここがやっとの思いで取り返した料理部の部室でこの変態達が一生懸命集めた料理部の部員たちなんて。
うん。違う。絶対違う。そうだ、となりの部室に行こう。
「あ、まーくんだ」
緩羽の声にみんなが俺の方を振り向いた。
「まぁくん!!!」
「東!」
「部長」
新たに加わった、サイコブラコンの双子の姉、すっかり女装趣味に目覚めた親友、ものすごい後ろ盾をもつ下心満載のレズ。
「まーくん、ごはんつくってー」
そして、学校生活の大半をぐうたらとすごす図々しい究極の三年寝太郎。
もしかしたら、料理部は今までの活動がかわいく思えるほど問題のある部活になってしまったのではないだろうか。
ゆるく飯を食らうだけの楽しすぎる部活動 もももも @moromoro9696
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