第153話 仲間
お帰りなさい♡
今日も暑いので早速お話を始めましょう。
今日のタンポポは、水曜日なので共同事業が有ります。トラックとバンが出ました。ドライバーの職員と添乗にメンバーが1名ずつ付きます。
通所メンバーは5名でした。
添乗に2名出ますので工場に残るのは3名です。この中に幻聴の強い男性も含まれています。
もはやこの男性は貴重な戦力です。
共同事業に出る準備から作業が始まりました。ポリ缶や配達の製品を積み込みます。準備が終わりトラックとバンを出すと、クエン酸を容器に入れる作業です。
職員が2名入りました。
メンバーが少ないので緩やかなペースで作業が進みます。クエン酸が終わると次はキッチン&クリーンを100個くらい作りました。
僕は大体計量を担当するのですが、職員にたまには違う作業をすればと言われ、計量が終わった容器を綺麗に拭きながら蓋を閉める作業をしました。
しばらくすると、左手の薬指の第一関節がピリピリと痛むではないですか。見るとマメが出来て潰れています。なんてやわな手なのでしょう。職員のリーダーが心配してくれましたが、そのまま大丈夫と作業を続けました。
間に10分休憩が2度入ります。
5㌔を20袋だけ出しました。僕の担当はホッパーです。粉石鹸が潰れたマメに触れ痛みはピークに達しました。手を綺麗に洗い流し、職員のリーダーにばんそうこうをもらいました。
痛い?と聞かれ、痛いですと答えると、だろうね、と言われました。やせ我慢は良く無いですね。
そしてお昼休みです。
お弁当のメニューはサバの唐揚げ中華あんかけと鶏の味噌七味唐辛子焼です。サバが物凄くボリュームがあり食べ応え十分でした。
30分仮眠して午後の作業です。油空け缶潰しでした。
午前中は作業場が直に日に当たるので午後の作業になったのです。午後になると作業場が日陰になるのです。
潰す缶は約100缶。
この面子ではどう考えても14時に終わらないです。13時30分に5分休憩が入ります。この時バンで出たメンバーが1名帰って来ました。
油空け缶潰しに加わります。
14時少し前に職員のリーダーが残業が出来るメンバーを募ります。僕以外の3名が残業に名乗り出ました。僕は迷いました。
しかし今日はキツイ作業です。仲間を置いては帰れません。帰れば後悔するのは目に見えています。僕は残業する事を選びました。
14時30分、作業完了です。
全員汗と廃油まみれです。強い達成感がありました。
報酬は30分の残業が付いて、お金に換算すると2,400円です。
ささやかな幸福感が僕を包み込みました。
♦♦♦♦
仲間。
作業が終わると3階の食堂兼休憩室で、手書きの勤務表を書きます。その時、幻聴の強い男性が施設長から利用契約書を受け取っていました。
僕達の新しい仲間の誕生です。
喜んで歓迎します。タンポポのメンバーはみんな個性的で優しく、僕は大好きです。
本当は仮名で呼びたいのですが、誰の事を指すのか分かってしまう為、控えています。
在籍メンバーは全員独身です。40歳の童貞君もいます。
僕はこの愛すべき仲間達と日々生きています。
帰りはバスが無く、歩きになりましたが苦になりませんでした。
あなたに伝えたかったのです。僕は幸せですと。お金が無くても幸せを感じる事が出来るのですね。
今日また1歩前に進めたようです。
そろそろ終わりにしましょう。逢いに来てくれてとても嬉しかったです。
明日も待っています。
行ってらっしゃい♡
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