第7話 狂戦士との遭遇 その4

「今日こそ2層に行くぞ」


 謎の女に心を傷付けられた翌日。訓練所に行く気にもなれず心機一転、甲山カオスホールへと訪れた。

 装備品は前のまま。サブタンクからその予備までCリキッドを満タンにしてうん万円かかった。マジで早く稼げるようにならないとなけなしの貯蓄までなくなってしまう。

 訓練所でひたすら鍛えた回避運動と察知能力。今日の目標は攻撃を食らってアーマーのCリキッドをシールド分減らさないことだ。

 ……死活問題だからね。


 洞窟ダンジョン型カオスホールの一層目を足早に攻略していく。

 流石に三度目ともなれば慣れたもの。天井壁床。ランドバットを発見次第に撃ち落として行く。

 通路の構造上、倒していかなければ背後を突かれてしまうので赤字覚悟でやらなければならない。

 何時かもっと経験を積んで強くなれれば剣や槍など接近武器でコスト安に倒せるようにもなるのだろうけど、それを待っている余裕はないのだ。


「……よし、今日は前みたいに溜まってないな」


 壁に張り付くようにして一層の最奥にある広いホールを観察する。身を隠せるような場所がないのも考え物だが、ホールの中にいたのは十匹前後の通常個体だけだった。

 ランダム、と言って良いか解らないけど、異相空間だか多次元?だとかで来るたびに違うカオスホールは今日のところ当たりらしい。最近誰かが攻略したのだろう。

 ……前来た時の僕じゃないよね?


「んっ!」


 壁から離れホールに飛び込んで立ち止まる。僕に気づいて滑空してきたランドバットたちに怯えず、肩で構えた結晶銃の引き金を冷静に引いて行く。

 ピュンピュピュン。なんて音だけ聞いていれば気の抜けそうな発射音だけど生じる結果は凶悪だ。

 バチュンバチュンと光の弾丸がランドバットの体を弾けさせ、闇色の霧へと霧散させていく。


「まあ、こんなものか」


 この間の方が特別なのだ。滑空能力を除けば中型犬程度の大きさと戦闘力しかないランドバット10匹程度など、高性能な装備品の前では敵にすらならない。

 あっけなく掃討を完了した僕は転がる石ころみたいな結晶石を拾い集め、下層へと繋がる小さなカオスホールの前にたった。


 カオスホールの中にある小カオスホール。これを潜ることで更なる深層へと潜ることができ、また新たなる階層へ行くことで次からはそこを加えた階層を選んで侵入することができるようになる。


 鳴子さんが言ってた新人が少ない時期に浅層でモンスターが溜まる理由がこれだ。

 みんなわざわざ儲けにならない層に行ったりはしない。カオスバスターとて人の子。食い扶持を稼がなくては生きて行けないのである。

 一応自衛隊の人が帰還報告所に提出された結晶石の推移をみて掃討しているらしいけど、どこもかしこも人手不足だからなあ……。


「次はどんなモンスターがいるんだっけ?」


 僕は新しく対自するだろうモンスターを思い出しながら小カオスホールへと身を投じた。

 感覚は普通のカオスホールと一緒だ。無音の闇の中を、しかし惑う事なく進んでいく。

 数えて4、5秒ほど。大カオスホールよりは若干早く見栄えしない岩の通路へと移動した。


「おんなじ?」


 一層と全く同じ作りの通路だ。広さも同じくらい。

 ああ、でも分かれ道が目で見える範囲にある。枝道が増えたってことかな。

 僕は一応として腰のホルダーケースからメモ帳を取り出しマッピングする。


 PDA、個人情報端末でのマッピングはしないのがバスター心得の一つだ。

 補給なんてできない孤立した空間であるカオスホール内では壊れやすい電子機器の信頼性は低い。

 なので燃えさえしなければどうとでもなる紙媒体に記入するのが主流だ。

 ランダムに構造が違う場所に訪れることにになるのでマッピングしても基本その時にしか使えないのだが。


 最新のライブアーマーだとPDA機能付きが出てるらしいけど、高級な外車を買えるような値段なので僕には関係ない。

 メモ帳をホルダーケースに戻し、銃を構えながら慎重に通路を進む。

 セオリー通り右よりに進んで行こう。総当たりはCリキッド的(金銭的)にキツイけど、贅沢が言えるほどの能力はないのだから。


「ん」


 チャッ、チャッ、と高質な音が聞こえる。

 これは耳慣れた人ならすぐにわかるだ。

 四足歩行の獣。それが固い床を走る時に爪を当てる音である。

 目測で40~50メートルの間か。暗く沈んだ闇の中から《犬》が姿を現した。


「グルルル」


 それを犬と言って良いのだろうか? しかし狼と言う訳でもない。

 闘犬のように筋肉質な体。薄い体毛もそれっぽい。大きさも多分それくらい。

 しかし、しかしである。喉まで裂けた大きな口に顔の三分の一もある単眼が一つと、モンスターとしか言いようがない異貌いぼうは見ていて怖気が走る。

 明らかに自然の物ではない異質な存在に対する忌避感が僕の全身に奔った。


「モノアイドックか。映像よりグロいな」


 そう嘆きながらも構えていた銃の照準を合わせるのを忘れない。

 このモンスターはランドバットのように滑空しなければ満足に動けない出来損ないではない。

 筋肉質な見た目に相応しい俊敏さと力強さがある。と言われている。


 ――ジャリッ そんな音を立ててモノアイドックが走ってくる。

 力強く蹴られる四足に生えた鋭い爪が蹴立てられた音だ。

 そして速い。滑空した時のランドバットよりもずっと速く、一度の瞬きで数メートルもの距離を詰めてくる。

 引き金に当てた指が緊張と恐怖でカタカタ震える。怖い、けど!

 ジャッ! 疾走、なんて言葉が浮かんできそうな速さで直進してきたモノアイドックが砲弾のように飛びかかって来た。

 ビクッ、恐怖感から反射してしまった体が結晶銃の引き金を引いてしまう。

 ピュン、と飛びだした光弾が狙いから外れ、顔が見えなくなるほど開いていた大口の横を大きく削り取った。


「グアアアッ!?」

「くぁっ!?」


 しかしその程度ではモンスターどころか人も獣も死なない。痛みかそれとも衝撃かに顔をのけ反らせたモノアイドックの巨体と僕の体が衝突した。

 ぐおっ!? 物凄い衝撃だ。ライブアーマーの疑似生体シールドのおかげで痛みはほとんどないが、筋肉質な成人男性と変わらない体躯のモノアイドックの質量に押され無様に転がった。


「なんとぉー!!」

「グルァアッ!」


 衝撃で銃を手放してしまうと言う最悪のヘマをした僕は即座に脚のナイフ形結晶剣を抜き、膝をついた状態からモノアイドックの背中に飛び乗るようにしがみ付いた。

 そして突く。刺す。突き刺す。それほど長くない刀身がここで活きた。取り回し良くザクザクとモノアイドックの腹や背中に突き立てていく。

 体の構造上、背中に取りつかれてはほぼ唯一の攻撃手段と言って良い噛み付き攻撃ができないモノアイドックは反撃する事もできず霧散して消えた。


 お、おお、メッチャ怖かったあ~。

 乗りかかっていたモノアイドックが消えた事でべチャリと地面に転がった僕は、ガクガクと震える足を叱咤して落とした結晶銃を拾いその場で座り込んだ。


 やっぱり違う。ランドバットは異様に大きいとは言ってもしょせんは蝙蝠。犬のように時には自分より大きな獣を狩る生物ではない。

 だから攻撃性が全く違った。より命の危険を感じた。


「やばいな。一匹だけだったから良かったけど、複数に不意を突かれれれば下手すれば抵抗できなくなっちゃうかも」


 腕とか足とか噛まれて引きずり回られたら反撃ができないかもしれない。

 せめて一人だけでも仲間ができたら良いのだけれど……今は言ってもしかたないか。

 地面に転がるモノアイドックの結晶石。見た目通りランドバットの物よりも大きく表面が若干透き通っている。質も量も倍くらいの価値がありそうだ。

 10円が20円になるって意味じゃなくて実用性という意味で。


 たしか一個100円くらいしたっけ? ……ぜんぜん足りんがな。

 今の僕の命の価値、100円くらい。ダ〇ソーかよ。


「成せばなる。成さねばならぬ何事も」


 とりあえず今日はモノアイドックにビビらないように慣れることと、安全な立ち回りを覚えよう。

 そう決めた僕は胸をパンパンと叩いて気合を入れ、先に進んだ。


 ――のだけれど。


「数が少なすぎる」


 ほとんど一回こっきりしか使えないマッピングをしながらゆっくりと進むこと一時間ほど。それまでに遭遇したモノアイドックはわずか5匹。

 モノアイドックは1匹が三回と2匹が一回と回数も数も少なすぎた。オマケ程度にいたランドバットも3匹だけだった。

 モンスターとは基本群れるもの。一匹で遭遇することがちょくちょくあるのはどこにでも逸れ者はいると言うだけだ。

 しかしそれがこうも続いてはもう一つの可能性が出てくる。


「ひょっとして先行してるバスターがいるのかな?」


 それほど時間差がないタイミングで他のバスターがモンスターを討伐した場合、こんな風に数が少なくなる。当たり前の話だけど。

 今日で3回目のカオスホール侵入。どうやら御同業とホール内でかち合ったらしい。


「ふむ。これはチャンスかも」


 生でプロバスターの本気の戦いを見た事がなかった僕はこれを好機だと思った。

 未熟なのは百も承知な自分だ。プロハンターの立ち回りを見て学べる機会を逃す手はない。

 モンスターの少なさから急いで奥へと向かえばまだこの層にいるかもしれない。

 僕は警戒だけは忘れずに軽く走り出した。

 向かうのはモンスターの気配が薄い方。バスターが通ればモンスターがいなくなるのは必定なのだから。


 そうしてモンスターを避ける様に奥へと走っていた僕は誰かが争う気配を感じて歩みを緩めた。

 近い。かなりの数がいると思われるモノアイドックの吠える声と鳴き声。誰かが群れと交戦しているのだ。


 上の層と同じ通路から続く広いホールになっているボス部屋らしき場所。

 通路側で姿勢を低くし気配を殺すようにしてそこを覗いた僕が見たのは、数十匹ものモノアイドックに囲まれた女性バスターが《無双》する姿だった。


「―っぁ―ぁあっ! ――ァァアアアッ!!」


 ザクン。そしてボカン。だろうか? 女性バスターが振るった人間一人分はありそうな大剣が数匹のモノアイドックをまとめて粉砕する。

 当たったそばから闇の霧へと霧散するモノアイドックの姿からその大きすぎる大剣が見かけ倒しではないことを物語っていた。


 それはもう暴風だ。明らかに大剣よりも軽そうな細身の女性バスターが振り回される様子もなく横に縦に斜めに振り回す。

 その度に数匹のモノアイドックが霧散し、見る間に数を減らして行く。

 なにかを叫びながら猛威を振るっている女性バスターには鬼気迫るものがあった。


 うわぁ……。なんか見た事あるなあれぇ……。

 父さんと母さんが趣味にしていたレトロゲームのなんだっけ?

 英雄を召喚してサーバンツ?にして戦うアレのバーサーカーみたいだ。

 フォックスキャットなんて意味不明な生物の方じゃなくて、もう見るからにバーサーカーって感じの強キャラ。

 見た目的には正反対だけど、あの叫び声と大剣の暴虐さを見てたらそれを思いだした。


「――っんで――ぶたや――っだよ! ――ッソがああああぁぁぁぁぁ!!」

「ひえっ!?」


 今まで一番大きな叫び声に思わずビビッてしまった僕は声を漏らしてしまった。


「……アン?」

「グギャァ?!」


 そのわずかな呟きに反応して振り向くバーサーカー…もとい女性バスター。

 とりあえず置いとくわって感じで下された大剣に潰されたモノアイドックに何故か同情した。


 はわわ、見つかっちゃったよぅ……。と慌てた僕であったが戦闘は未だ続行中だ。それまで遠場で見ていた強個体らしき巨大なモノアイドックが女性バスターに向かった。


 で、デカい。そのモノアイドックは通常個体よりも遥かに大きく、体毛の薄さもあってまるで首の短い馬にも見える。

 あの大きさだと僕の結晶銃、石火参式改でもヘッドショットを決めなければ一撃では倒せないだろう。あれにナイフ形結晶剣、三束で挑む勇気は僕にはまだない。


 しかし巨大モノアイドックの気配に振り向いた女性バスターは、フルフェイスメットに顔が隠れていてもなお喜色を浮かべていると感じられる声で迎え撃った。


「今日のメインはオマエだ。……ってね。さあ、可愛がってあげるからいらっしゃい」

「グオオオオオオオ!!」


 モノアイドッグが挑発に腹を立てたのか飛び出した。

 速い! 動きそのものは通常のと一緒だが巨体であっても損なっていないので結果的に速度アップになっている。

 しかし女性バスターは自動車みたいに突っ込んでくるモノアイドッグに微塵も恐れを見せず、野球のスイングみたいな、けれど足の裏は地面につけたままの動きで大剣を振った。


 ドカン。接触事故のような鈍く高い音が洞窟型のホールに響いた。

 その結果は目を疑うもの。馬のような巨体のモノアイドッグが横に殴り飛ばされ、体重で言えばその三分の一もないだろう女性バスターはほとんどその場を動かずたっていた。


 なんだそれ?! 装備品の性能か!? 質量的にありえない結果を生み出した女性バスターはなんてことのない動作で一歩を踏み出し……ながら大剣を振り上げ、転がって直ぐに起き上がった巨大モノアイドックの頭に叩き落とした。


 鳴った音はやはりドカン。もしくはドゴン。何十キロあるか解らない鉄の塊が目にも留まらない速度で振り落とされ巨大モノアイドックの前半身を文字通り叩き潰した。


 うわあ。うわああ。モンスターは血を流さないし中身も詰まってないからマシだけど、それでも下半身だけになった巨大な獣って超気持ち悪い。

 若干の時間差で下半身も闇色の靄となって霧散し、残っていた通常のモノアイドックが狼狽えたところを女性バスターがブチッ、ブチッと潰していった。


「……で、なんかよう?」

「えっ!? い、いいイエっ! ななナンでもないデスッ!」

「あ? なんでビビってんの?」


 ヒッ?! こっちきた!?

 明らかに僕とはジャンルが違う女性バスターに怯んでいたら勘気に触れたようだ。

 《勘気》とは、主君、父親など目上の者の怒りに触れ、とがめを受けることである。

 つまり自らの格下宣言であった。だってしょうがないでしょー!? こんなバーサーカー怖いってー!!


 なんか昔のドラマとかでチンピラがやってるようなメンチを切りながら?女性バスターがやってきた。

 逃げる訳にもいかず心臓バクバクで待っていた僕だけど、よく見たらメンチ切りながらでも重心が乱れていないのがさらに怖い。何時でも動ける玄人の動きだ。

 て言うか大剣をガリガリ引き摺ってくるのやめて!? 怖いから!!


「んん? どっかで聞いた声ね。アンタ、名前は?」

「は? え、名前ですか?」


 言いたくねえ~! でも僕もどっかで見たことあるかも? この胴体丸出しのエロいライブアーマー。綺麗なのに酷く冷たい声もごく最近聞いたような?


「で、名前は?」

「な、名乗るほどの者では――」

「で、名前は?」


 ループに入った!? い、いかん。このままでは流石に殴られることはないだろうけど、変な奴が居たとか管理組合に報告されると色々面倒だ。

 しかたない……。


「武庫川兵庫、です」

「……昨日の奴か」


 そう言った女性バスターはハァ~と大きく息を吐いて大剣を背中に背負った。どうなってるんだろアレ? 背中も丸出しなのにどうやって固定してるんだ??

 でも昨日の奴ってなんだろ。昨日この人と会ったってわけ? でも僕はむーとつなと鳴子さん以外の女性となんて訓練所くらいでしか……ん? 訓練所?


 何かを思いだしそうになったところで女性がライブアーマーのメットを外し素顔をさらした。

 メットの中に収められていた長い黒髪がサラリとこぼれおちる。

 うう~ん。どこかで見たような見なかったような顔。多分すんごい美人だと思うけど、そう言うのに興味の無い僕としては酷薄そうな印象をもってしまう。


「ん、もう。解れちゃった。……まあ一応礼をと思ってね。余計なおせっかいだったけど」


 こ、この心を抉るような台詞! こいつは昨日のク〇女!!

 一気に畏れが消えた僕は礼儀としてメットを脱いで素顔をさらした。

 口が引きつっているのはご容赦願いたい。


「そ、それはもうしわけなかったですね」

「ほんとにね。でももうすんだことだし許してあげるわ。おかげでせっかくのプライベートタイムが台無しになったけど」


 どんだけ上から目線! 台無しにしたのは僕じゃねーし! こいつ絶対友達いねえだろ! 

 今の世の中、対比的に少なった男を巡って女の戦いが激しくなってるらしいしね!

 血の気のある男って今はナンパとか犯罪じゃなくカオスバスターになって死んじゃうからね。


「で、あんたも私のファンなの? 言っとくけどサインはプレイベートじゃしないから」

「はあ」


 なに言ってんだこいつ?


「……あんた、まさか私を知らないなんて言わないわよね?」

「…………」


 知りませんけどなにか?


「そ、そのすっとぼけた顔。ほ、ほんとに知らないの? や、やだ。あれでしょ? 知ってるけど知らない振りをしている自分カッコイイなんでしょ?」

「…………」

「マジで知らないの?! 赫夜よ! 竹家たけうち赫夜かくや! 今を時めくトップアイドルの!」


 クスッ。自分でトップアイドルとかwww


「お、オマエ笑ってんじゃねーよ! NK24のカクヤ姫ったら私のことでしょ!!」


 自分でトップアイドルとか言うだけで頭アレなのに、しかも自称姫ってwww


「だから嘲笑ってんじゃねーよクソ豚野郎ー!!」

「うわっ?! ちょっ!? やめっ!」


 何が気に入らないのかバーサーカー改め、ク〇女が背中の大剣を振りぬいて地面にドッカンドッカン振り下ろす。

 ぐわあああ! 今かすったー! 砕けた石片でアーマーのCリキッドが減るー!! 女の癇癪は猫だって食べないぞ!(モノアイドックのせいで現在猫派)


 ん? でもNK24なら聞いた事あるな。ついこのあいだむーたちが見てたテレビにでてたし。

 その時、僕の薄桃色の脳細胞が活性化し、この数日あったアレコレを結合させた。


 このエロイライブアーマー! 前にカオスホールの前で鉢合わせしたエロバスターだ!

 それにNK24! 名前は知らんけど、確かに正面で歌ってたアイドルに似ている……気がする。興味なかったから憶えてないけど。名前とか全く知らないし。

 でもそれだから訓練所でサインとか絡まれていたのか! ご当地アイドルだから人気も根強そうだし!


 とりあえず僕は興奮する……なんだっけ? 聞いておいて全く憶えていない名前のアイドルwさんに知ってる!……気がする。と声をかけて落ち着かせた。

 なんかブチ切れそうな顔になったのはどうしてだろう。謎だ。

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