第11話 復讐
「ガーネット、こんな無意味なことはお止めなさい!いくら復讐したってマカダミアおば様は帰ってこないのよ」
背後にノアゼットさんを庇いながら、セリーズさんはガーネットを必死で説得し続けた。
しかし、ガーネットの胸にセリーズさんの言葉はまったく届いていないようであった。
「あんたの綺麗事なんてとっくに聞き飽きたんだよ」
ガーネットが憎々しげにセリーズさんを睨み付ける。
「この復讐に意味があるかどうかはあたしが決めることだ。あんたが口出しする権利はない」
そう言って、ガーネットは右手を前に突きだし、何やら短く呪文を唱えた。
――――まずい!あの呪文は黒魔術…!
セリーズさんはすぐさま結界を張り、私とロムを振り返って叫んだ。
「ここは私がなんとかするから、あなた達はノアゼットさんを連れてひとまずこの屋敷からお逃げなさい!」
「そんな…!」
私は戸惑いながらその場に立ちすくんだ。
いくらなんでも、セリーズさんを置いて私達だけ逃げるなんて、そんなこと――――
「よし、わかった!じゃ、あとはよろしく頼むぜ」
あっさりとセリーズさんの言葉を聞き入れ、迷うことなく真っ先に出口へと向かうロム。
相変わらず薄情なやつだ。
しかし、それはロムだけではなかった。
なんと、あのノアゼットさんまでも、ロムに続いて躊躇うことなく逃げ出したのである。
しかも、セリーズさんには一瞥もくれずに。
「ミルテ、私のことは気にせずにあなたも早くお行きなさい」
私の心境を察したのか、セリーズさんは優しくそう言ってくれた。
「セリーズさん…」
なんて優しいいい人なんだろう。
涙が出てきそうだ。
「どうかご無事で…」
私は彼女に感謝しながら、後ろ髪を引かれる思いで出口へと駆け出した。
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