私はこの物語に、唯一無二の熱意を感じました。
ダークサイドの描写が、作者の手の内でしっかり管理されていて、本当によく練られているのを感じます。作者さんの執着すら、文面を通して見えるようです。(こう言っては失礼かもしれませんが……)
歌舞伎町の稼ぎ頭のホステス。そのもとに生まれた、愛されなかった主人公のお話です。
復讐、嫉妬や欺瞞など、打算でつづられていく世界観に、熱量を感じます。
お金の数字がどんどんと膨らんでいく描写、また幻想性ある華美な描写の積み重ねによる、独自の自己愛、少女性に満ちた主人公視点の構築がそれは見事で見事で。
ラストの決着から、私は何とも言えない哀愁と、少しのしんみりした気分を持ち帰りました。この気持ちの名前はきっと、同情です。
作者さんは書くテーマが明瞭に見えている感じがします。
こういうテーマを続けて書くのはつらいかもしれませんが、確かに才能を感じましたので、同じ信念で書き続けてほしいと願いました。
もっと、力量を評価されていい作品だと思います。