第5話「生きる意味」

俺はオークリーダーを倒し、アイリスの元へ戻った。

「アイリス、手当をしたいから少し服を上げてもらってもいいか?」

「は、はい...お願い..します」

アイリスは傷が見える高さまで服を上げた。

「ありがとう。少し痛むかもしれないけど我慢してくれ。」

俺はアイリスの傷をアイテム“消毒薬”を使用し消毒した。

「ッ!!痛ッ!!」

「よし、消毒は完了だ。最後に包帯を巻くぞ。」

「はい。」

俺はアイリスの傷に包帯を巻いた。

「これでよし...と..後は沙也加に回復魔法をかけてもらえばもう少し良くなるはずだ。」

「はい....ありがとうございます。」

「アイリス、これからは辛い事があったりしたら一人で抱え込もうとせずに俺たちに話してくれな!」

「は、はい!」


すると、沙也加がこっちに向かってきた。


「春人くん!アイリスちゃん!!」

「沙也加、いいところに来た!すまないが、アイリスに回復魔法をかけてやってくれ」

「分かりました」

「頼む」

「“大地に満ちたる命の躍動、汝の傷を癒せ”ヒール!!」

沙也加はアイリスに回復魔法、ヒールを唱えた。

「痛みが....消えました。本当にありがとうございます!」

すると沙也加はアイリスに抱きつき泣きながら言った。

「ごめんね!アイリスちゃん!私がすぐに気がついてアイリスちゃんの元へ向かっていればこんなことにならなかったのに....」

「謝らないでください!沙也加さんは全然悪くないですから!あれは私の不注意で起きた事ですから」

「ごめんね..アイリスちゃん...」

「本当に大丈夫ですから...ほら、これで涙を拭いてください。」

アイリスはスカートのポケットからハンカチを取り出した。

「ありがとう...」

「沙也加、泣いてるなんてらしくないぞ〜」

「春人君は黙ってて!」

「へいへい。まぁ、アイリスが怪我をしてしまったのは沙也加のせいではないから大丈夫だよ。気にするな。それと治療してくれてサンキューな!」

「うん....」


俺はメニューから受注したクエストの内容を確認した。

ーオーク残り討伐数 2体ー

(残り討伐数は2体か....このまま行ってもいいがアイリスの疲労と沙也加のMPを考えたら少し厳しいな)

※MP:マジックポイント

俺はこれ以上、沙也加とアイリスを危険な目に合わせたくはないので二人をアイテムで最初の街に帰還させることにした。


それはアイテムの“ムーヴメントクリスタル”というものだ。

※ムーヴメントクリスタルとは..使用すると最初いた街に移動できる。

という効果があるアイテムだ。RPGゲームをやっている人ならこういう系統のアイテムは知っているはずだ。


「沙也加...アイリス....すまない...」

「春人くん、いきなりどうしたの?

俺はアイテムポーチから“ムーヴメントクリスタル”を出し沙也加とアイリスに渡した。

「春人さん...これは...?」

「沙也加、アイリス...宿屋を探してちゃんと休め」

「さっきから..何言ってるの?春人くん!」

するとムーヴメントクリスタルが強い光を沙也加達を包んだ。

「春人君!!これって!!」

「またな」

「春人さん...待っ...」

沙也加とアイリスは洞窟から姿を消し、最初いた街に戻った。

俺はメニューからアイリスにメッセージを送った。

ーアイリスへー

友達の事は俺に任せろ。絶対に連れて帰るから。だから待っててくれ 。



ーバシュ!ー

そして沙也加とアイリスはアイテムで無事に最初の街に移動した。

「うわぁッ!イテテテテ...」

「沙也加さん...ここって...」

「最初の街...だね..」

するとアイリスにメッセージが届いた。

アイリスはメッセージを確認した。

ーアイリスへー

友達の事は俺に任せろ、絶対に連れて帰る。だからゆっくり体を休めて待っててくれ 。


「春人さん.....そんな....」

アイリスは地べたに座りこんでしまった。

「アイリスちゃん!どうしたの!」

「春人さんが.....死んじゃう.....」

「死んじゃう?」

沙也加は春人のメッセージを見た。

「嘘...でしょ...オークがあんなにいるっていうのに...無茶だよ..春人くん..」

「私が友達を助けたいなんて言ったから..自分一人で助けに行けばいいのに....」

アイリスの精神は崩壊寸前だった。

「嫌だ....春人くんを失うなんて嫌です!私、春人くんを救いに洞窟に行ってきます。」

沙也加は洞窟に向かおうとした。

すると、ガタイのいい優しそうなおじさんが沙也加の腕を掴んだ。

「おい、ちょっと待て!」

「は、離してください!!!」

「いや、暴れるなって!落ち着け!お前らはあれだろ?春人の友達の沙也加とアイリスっていうやつだろ?」

沙也加はその言葉で一瞬で動きが止まった。

「なんでそれを...そしてあなたは一体...」

「俺の名前はイグナジオ、宿屋をやっておる。それと、なんでそのことを知っているかだな?それは春人に頼まれたからだよ」

「頼まれた??」

「あぁ、その話をすると少し長くなるけどきくか?」

「はい、聞かせてください」





※人物紹介 オグナジオ

この人の話をすると長くなってしまうので簡単に説明しよう。

俺が元の世界でミディーレアをプレイしてる時にゲーム内でお世話になった人物(宿屋のNPC)だ。

そして、俺がこの世界に入ってしまったからこの方がいるのだ。



俺がイグナジオに頼んだ内容は何かというと....


-クエストを受注した後ー

俺は沙也加とアイリスに内緒でイグナジオと、あるやりとりをしていた。

ーイグナジオ、頼みたい事があるんだけどー

ー俺にできる事だったらなんでもいいぞ。で、要件はなんだ?ー

ーああ、少しの間でいいから俺の友達の沙也加、アイリス二人をかくまってくれないか?

ー匿う?具体的に何をすればいい?ー

ー俺たちはこれからクエストでネプトゥルム洞窟に向かう。そして、沙也加とアイリスをアイテムで最初の街に帰還させる、その二人が街に着いたらかくまって欲しいんだ。

ー分かった、約束しよう。で?その二人の特徴は?ー

ーざっくり言うと、沙也加の方は長髪で黒髪、アイリスはツインテールで白髪だ。ー

ー本当にざっくり言いやがったな....まぁ、その容姿の子がいたら声をかけてみるぜ。

ーああ、頼むー

ー春人、一つ聞きたい事があるんだが、二人を帰還させた後お前はどうする気だ?ー

ー俺は、アイリスの友達を洞窟内で探すー

ーアイリスっていう子の友達が何かあったのか?ー

ー洞窟内で行方不明になったらしくてなー

ーそうゆうことか...春人、あそこは敵が強いから気をつけろよー

ーおう。イグナジオ、沙也加とアイリスが俺の所に来ようとしていたら何がなんでも止めてくれな。あいつらに怖い思いをしてほしくないー

ー任せておけー

ー助かる。じゃ、またなー


イグナジオは上記のやりとりを沙也加とアイリスに説明した

「•••説明は以上だ」

「そ、そんな..イグナジオさん!今すぐ、洞窟に行かせてください!!!!」

「それはできない。さっきも言った通り春人に止めろと言われているんだ。すまない。」

「な、なんでですか...ど...どけてください...どけてくださいよ....」

沙也加は泣きながら必死にイグナジオに掛け合った。

「すまない。だが、沙也加ちゃん..春人は絶対に死んだりしないさ。だって、あいつは“強い”。どんな状況に陥ったとしてもあいつは絶対に諦めたりしないからな。だから大丈夫だ。」

「イグナジオさん...」

「だから、今は春人の帰りを待っていよう...な?」

「はい」

イグナジオは沙也加を説得することに成功した。


そしてそのとこにいたアイリスは瞳に光沢が消えて表情がない状態でずっと地面に座り込んでいた。

「アイリスちゃん?」

イグナジオはアイリスに声をかけたが反応をせずに一点を見つめていた。

(まずいな、アイリスの精神状態がますます悪化しているな。仕方ない魔法で一旦眠らせて宿屋で休ませるか)

イグナジオは沙也加とアイリスに睡眠魔法をかけた。

「“深海の闇夜に意識よ、身を委ねん、汝に安らぎを”スリープ。ゆっくり休め」

沙也加とアイリスは眠りについた。

イグナジオを二人を抱え自分が経営している宿屋に向かった。


そして宿に着き、イグナジオは空いてる部屋のベッドに沙也加とアイリスを寝させた。

ーカチッー

イグナジオは部屋の電気を消し出ていった。




一方ネプトゥルム洞窟では。

春人はオーク二体と戦闘中だった。

「うぉおおお!!!」

ーキンッ!キンッ!ー

ーザシュ!ー

剣と剣が弾き合う音が洞窟内に響いていた。

そして春人はオーク二体を倒した。

「ハァハァ...」

ーシュイーンー

520EXP






















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