第4話「ネプトゥルム洞窟」

俺たちはクエストを受ける場所を探すために街の人に色々聞くことにした。

「すいません!」

「ん?なんだね?」

そこには商人がいた。

「あの俺たち“クエストを受けられる”ところを探してるんですけどどこにあるか分かりますか??」

「うむ...クエスト受付所ならここを真っ直ぐ行ってその突き当たりを右に曲がればあるよ。」

「そうですか!教えていただいて本当にありがとうございます!」

「感謝されるほどの事ではないよ。まぁ気をつけてな。」

「はい!では...」

俺たちはその場から去ろうとした時、商人がアイリスと沙也加に声をかけていた。

「あ、ちょっと待って。お嬢ちゃん方.」

アイリスと沙也加は口を揃えて「はい?」と言った。

「君たちに装飾品をあげよう。えーっと........あったあった.はい、コレ。」

「うわぁ〜すごい綺麗ですね!コレ!」

商人はアイリスと沙也加に綺麗なクリスタル付きの首飾りを渡した。

「綺麗なのはいいんですけど。これは何ですか?」

「これを首にかけることでモンスターに襲われずらくなるんだ。」

「そ、そうなんですか〜。でも本当に襲われずらくなるんですか?」

と沙也加は言った。

「かけてみたら本当かどうか分かるよ。」

沙也加とアイリスは言われた通り首にかけた。

「沙也加さん...なにも変わった気がしないのですが.....」

「確かに何も変わってないね.....」

「ステータスのスキル欄を見なされ。」

沙也加とアイリスはステータスを見た。

するとスキルが一個増えていた。

「”嗅覚麻痺“というスキルが追加されてます!!」

「そう、それをつけれると先ほど言った効果が得られるんだよ。ちなみに”嗅覚麻痺“というのは君たちがつけている首飾りからモンスターが嫌う匂いを出し嗅覚を麻痺させる。という事からこの名前が来てるらしいよ。」

「効果はかなり強いんですけど....私たちから常に嫌な匂いが出てるという事ですよね。」

「でも、その嫌な匂いはあくまでモンスターが嫌がるものだから人間には関係ないんだよね。だからそこは気にしなくてもいいよ」

「だそうですよ。沙也加さん!」

「そ、それなら安心だね!」

「じゃあ、クエスト頑張ってね」

「ありがとうございました!」

とアイリスと沙也加は俺の方へ向かってきた。

「おお、来たか。ところで商人から何を貰っていたんだ?」

「こ、これです!」

アイリスが首飾りを見せてくれた。

「首飾り??」

「はい!これをつける事でモンスターに襲われずらくなるらしいです!」

「へぇ〜それは便利なアイテムを貰ったな〜」

(あの商人絶対アイリスと沙也加が可愛いからあげたな。まぁ男はそういうものか。かわいいものには目がないっていうくらいだしな)

「でも、これを着けると春人さんが襲われやすくなって負担が大きくなるんじゃないでしょうか。」

「大丈夫だって、俺のことは全然気にしなくていいよ!」

「で、でも..」

「ほ、ほら危なくなったら俺もちゃんと逃げるから、な?」

「はい。」

「春人君!!!私から変な匂い出たりしてないよね!!」

「いきなりどうした!!ちょっとお前....近づくな!ち、近い..」

沙也加は急接近してきた。

「私臭くないよね!!」

「いや、臭くないからくっついて来るな。離れろ!」

むしろ臭いというよりスイーツみたいな甘い匂いがした。

「よ、良かった〜....ふぅ...」

「な、なんだよ急に.....」

「ご、ごめんね」

「いや、いいんだけどさ.」

(むしろこれは健全な男子ならご褒美に等しいのではないか?)

沙也加は首飾りのことを詳しく説明してくれた。

「なんだよ...そうゆうことかよ〜」

「驚かせて本当にごめんなさい。」

「いや、まじで大丈夫だから。む、むしろありがとう」

「なんで私が感謝されるんですか??」

「まぁ気にするな。よし、教えてもらったクエスト受付所に行くぞ〜」

「はい!春人さん!」

俺たちは商人に教えてもらった通りに進んだ。

するとそこには看板があり”カルディア“という言葉が書かれていて大きな建物があった。

「本当にここで合っているのかな。ひとまず入ってみようか」

「そうですね。入ってみましょう」

ーガチャー

「なんだ、ここは。」

そこには俺たちのいた世界では見た事だない内装が施されていた。

一番近いのは銀行みたいな感じで、RPG特有のクエストボードがあった。

するとお姉さんがこちらに向かってきた。

「こんにちは。私はクエスト案内人のバレッティと申します。何かお困りでしょうか?」

「どうも、自分は小早川春人って言います。あの、クエストを受けたいのですがどうすれば受注できるでしょうか?」

「クエストの受注でしたら目の前にあるクエストカウンターから受注できますよ」

「分かりましたありがとうございます!」

「いえいえ、それでは...」


「春人君!早速クエストカウンターに行ってみましょうよ!」

「おう」

俺たちはクエストカウンターに向かった。

(それにしてもプレイヤーが多いなぁ、しかもほぼ全員がパーティを組んでいる。6人、4人、そして2人パーティ)

(パーティを組む事によって様々なメリットがある。例えば、クエストの効率がよくなる、パーティボーナスで報酬が倍になる。というメリットがある。

だが、このゲームにおいての1番のメリットは生存率が上がるという事だ)

俺たちはカウンターについた。

「こんにちは!クエストを受注したいのですがよろしいですか?」

「はい!もちろん大丈夫ですよ!あちらにクエストボードがあるので選んで来てくださいいね。」

すると

メッセージが届いた。

-チュートリアル(クエストの受注方法)ー

クエストの受注はクエストボードに行きそこから行きたいクエストを選び、受付に持っていく事で受注できます。

(な、なるほど。)

「分かりました!」

俺たちはクエストボードの前に行き、良さそうなクエストを探した。

「うむ....」

「なかなか私たちのレベルに合ったクエストがありませんね...」

「ほとんどのものが推薦LV30オーバーだもんなぁ。」

「あ!!春人君!あれいいんじゃない!」

と沙也加は指を差し俺はそのクエストの内容を確認した。

ーオーク5体の討伐 推奨LV20ー

「えーっと、オーク5体の討伐、推薦LVは...20か。これなら行けなくはないか。」

「いいの発見しましたね!これならいけそうですね!」

「えっへん!」

「でも、推奨LV20だからなぁ....」

俺たちの中で推奨LV20を超えてる人は誰もいない。

「春人さんがいるならきっと大丈夫ですよ!春人さんお強いですから。」

「そうだよ!春人君!」

「そこまで言うならやりますか。」

俺はそのクエストの紙を受付に持っていった。

「これを受けたいんですけど...」

「はい!かしこまりました!少々お待ちください。」

受付のお姉さんはハンコをクエストの紙に押した。

「はい、これで受注は完了です!オークが生息する場所は地図にマーカーをつけて起きましたのでそこに向かってください!」

「はい!ありがとうございます!」

「あ、あと注意事項なんですが女性の方々はオークに攫われないように気をつけて下さいね。ここ最近でオークに連れ去られて行方不明になるという事が多々あるので....」

「は、はい.....」

俺たちはマップで受付のお姉さんがマーカーをつけてくれた場所を確認した。

「えっと、マーカーの場所は............ここか。」

マーカーが示している場所は”ネプトゥルム洞窟だった。

「オークは洞窟に生息するんですね。てっきりそこら辺の平原にいるものだと思っていました。」

沙也加は言った。

「俺もそれ思ったわ。普通のRPGゲームだと平原をウロウロしているしな。まぁ場所も確認できたから向かうとするか!」

「じゃあ、出発だね!」

「だな!」

「・・・」

するとアイリスの様子が少し変だった。

「アイリス、顔色が悪いぞ。どこが具合でも悪いのか?」

「あ、いや..その...一個思い当たる節がありまして。」

「その思い当たる節というのはなんなんだ?良かったら話してくれ。」

「はい。さっき受付のお姉さんがオークにさらわれて行方不明になってる人が多いと言っていましたよね。」

「ああ、言っていたな」

「私の友達も2、3日前にオークのクエストに行ったのですがそれから全くといって連絡がないんですよね。」

「え?それって...」

「はい......もしかしたらオークに連れ去られたのかもしれません......」

「そ、そんな.....いや、でもオークのクエストって言っても、色々オークの生息地はあるだろうし、ネプトゥルム洞窟に行ってる方が可能性としては低いんじゃないか?」

「私が覚えている限りではその子は、“ネプトゥルム洞窟”に行くといっていました.........春人さん...私どうしたら...」

今にも泣き出しそうなアイリスにそっと頭に手をやり俺はこう言った。

「アイリス..大丈夫だ。その子はきっと無事だ。今日洞窟に丁度行くんだからそん時でも探せばいいだろ?」

「春人さん.....はい、そうですね。ありがとうございます。」

「アイリスちゃん無理はしないでね!」

「はい。」

「じゃあ、気を取り直して洞窟に向かおう」

俺たちは道中敵を倒しながら洞窟に向かった。


そして洞窟に着いた。

「こ、ここがネプトゥルム洞窟.....」

洞窟の入り口には看板が立っていた。

ーネプトゥルム洞窟 入り口 推奨LV20ー

洞窟の入り口から冷たい嫌な空気が流れていた。

「春人君、このひんやりした空気は何なんでしょうか.....」

「わ、分からない.....」

俺たちは洞窟に入り道なりに進んだ。

すると、近くでオークたちの声が聞こえてきた


「春人君、今の聞きましたか?」

「ああ、聞こえた。近くにオークがいるな....4体...5体....いや7体か!」

「春人さん、どうしますか?」

「数が多すぎるから隠れてやり過ごそう。」

「はい。」

そしてオークをやり過ごす事に成功した。

「ふぅ....行ったか...」

「ナイス判断!春人君!」

「あの数と戦うのは流石に部が悪いからな」

「は、春人さん....」

するとアイリスは急に俺の手を掴みこう言ってきた。

「なんか怖くなってきたので手を繋いでいてもらってもいいですか?」

「おう、別にいいよ。」

アイリスの手は冷たく震えていた。

「あ、ありがとうございます.....」

「そういえばアイリス。まだ年齢を聞いていなかったんだけど何歳なんだ?」

「はい、私は15歳です」

「へぇ〜一つしか変わらないんだな。」

「てことは春人さんと沙也加さんは16歳.....」

「正解だよ〜アイリスちゃん!」

「アイリス、一つしか歳が変わらないんだから敬語を使わなくてもいいんだからな」

「はい、でも私は敬語の方がしっくり来るんですよね」

(確か沙也加似たようなことを言っていた気がするな)

「それ分かるかも!なんか敬語の方が話しやすいんだよね〜。特に異性と話す時とか!」

「はい!分かってくれる人がいて私嬉しいです!」

「まぁ、アイリスがそういうなら別にいいけどな」

「敬語で行かせていただきます」

「おう」

俺たちは会話をしながら洞窟の奥へと向かった。

すると何かの音が聞こえた。

ーカチッ!ー

それはトラップのスイッチを起動した時の音だった。

次の瞬間、俺たちの足場が崩れ落ちた。

「なっ⁉︎」

「な、何です⁉︎キャア!」

「足場が⁉︎」

俺たちは洞窟の一回層下に落ちてしまった。

「おい、アイリス!沙也加!大丈夫か!」

「はい!なんとか..大丈夫です」

「私も大丈夫だよ。春人くん」

「おお、無事で良かった...」

俺は辺りを見回した。

「沙也加...アイリス....急かもしれないけど戦闘準備をしてくれ。目の前にオーク三体がいる..」

「は、はい!」

沙也加とアイリスは同時に返事をして武器を取り出した。

オークのリーダーみたいな奴が俺たちの方向を見て指をさし言葉を発してきた。

「<<貴様ら、あの真ん中にいる男はミンチにしろ。女は殺さずに確保しろ。行け>>」

オークが言っている言葉は全くわからなかった。

そして、オークリーダの左右にいるオーク

二体が棍棒を持って突っ込んできた。

「来るぞ。沙也加は左の奴に攻撃魔法を!アイリスは俺と一緒に右のやつをやるぞ!」

「分かったよ!春人くん!“大気よ、風を起こし給え”ウィンド“!!」

沙也加はウインドを使いオーク一体を倒した。

260EXP

「・・・」

「ア、アイリス??」

アイリスは返事がなかった。

俺はアイリスの方向を見るとオークがアイリスにのしかかり、首を締め、横腹を殴っていた。

「ングッ....や、やめてぇ.....し、死にたくない....」

(私はこのまま死んじゃうのかな。友達を救う事も出来ず、何もできないまま。ごめんなさい、お母さん、そして春人さん、沙也加さん」

オークのスピードは予想以上に早かった。

「アイリスから手を離せ!!!」

俺は素早くアイリスの元に駆けつけオークの心臓を剣で貫いた。

-ザクッ!ー


ーシュイーンー

オークは粉のようになりちった。

RPGゲームでよくある倒した時のエフェクトだ。

「アイリス!!アイリス!!」

アイリスは俺の声に気がつき意識が戻った。

「ハァハァ......ゲホゲホッ!は..春人...さん...」

「大丈夫か?」

「は、はぃぃ...なん...とか.....」

とアイリスは答えたが俺が見る限りでは全く大丈夫ではなかった。

殴られた横腹は血で滲んでいた。

「アイリス...その傷.....

「だ...大丈夫です.....このくらいなら....痛ッ!」

(これ以上春人さんに迷惑をかけられない....痛ッ!)

激痛が走った。

「アイリス....無理はするな...」

俺はアイテムポーチから包帯を取り出し手当をしようとした。

次の瞬間アイリスが後ろを指をさしこういってきた。

「す...すいませ..⁉︎は、春人さん!!!!後ろ!!!!」

すると背後からオークリーダーが殴りかかってきた。

俺は殺気を瞬時に感じ取り素早く後ろを振り返りオークの棍棒を弾き飛ばした。


ーキンッ!ー

「治療の邪魔をするんじゃねえよ」

俺はオークの背後に回りあのスキルを放った。

「アンティシペイトカウンター(”見切り反撃“)」

オークの右腕を切り落とし、頭部を貫いた。

ーシュイーンー

オークを一体撃破 640EXP

ー沙也加のレベルが上がった LV16ー

ーアイリスのレベルが上がった LV14ー



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る