第29話 メロメロにとろけちゃう!

 アンソニーの別荘に到着すると、メイドのマリアが走り寄ってきた。笑顔のマリアは、ビッグハグで私の体を軽々と持ち上げ、強く抱きしめる。


「おかえり、カレン!! あなたがここへ戻ってくることをみんなが楽しみに待っていたのよ。疲れたでしょう。美味しいパイを焼いておいたからコーヒーと一緒にたべてちょうだい」


「ありがとう。マリア」


 マリアの笑顔はお母さんのような包容力があり、自宅に帰ってきたかのような、ホッとした気分にさせてくれる。



 ロサンゼルスからここへ来るまでの間、無口になっていた私にアンソニーは何も聞こうとはせずに……ただ、手をしっかりと握りしめ、優しく微笑みを見せるだけだった。






 アンソニーに手を引かれ、建物の中へ入って行くと、前回泊まった部屋の前を通り過ぎて、さらに奥の廊下へと進んで行く。


「あれっ。アンソニー、私の泊まる部屋は、前に泊まった部屋じゃないんだね」


「これから、カレンがここに泊まる時は、僕の部屋に泊まるんだよ」


「えっ? アンソニーの部屋?」


「そうだよ。カレンは、僕の恋人なんだから、一緒の部屋で過ごすのは当然だろう。これからは、ここを自分の家だと思って生活してほしいな」


 いゃ〜ん。もう、アンソニーったら……。


 心の中の声をさとられないように、ニタニタしながらアンソニーに手を引かれ廊下を歩く。アンソニーの部屋は、建物の一番奥にあり、部屋の窓からは葡萄畑ぶどうばたけが一望できるバルコニーがあった。




アンソニーに連れられて、部屋の中に入ると……





アンソニーは、いきなり私の体を抱きかかえ、ベッドへと運んでいく。


えっ……。いきなりの…… !?



 自由を奪われ、ベッドの上に寝かされると、覆いかぶさるように両手を奪い、しっかりと握りしめる。今にも、くちびるが触れそうな距離なのに、彼のくちびるは、私の耳元へと逃げていく。


「カレン……。君が生きていて本当によかった!! プールで溺れたと聞いた時は、生きた心地がしなかった。君を心から愛していると思い知らされたよ」


「アンソニー。あの時は、ごめんね。心配してきてくれたのに……」


「カレン、ここにいるあいだはひと時も離さない。覚悟して!!」


 アンソニーの甘いささやきが愛撫のように、耳たぶをくすぐる。


「あ〜ぁん。くすぐったいよ」


 ちょっとだけ体をくねらせると、標的を見つけた猛獣のように、耳元や耳たぶをいたぶるように甘噛みしてくる。


「愛してるよ、カレン」


 口元が緩んだ瞬間、くちびるが重なり合い、息もできないほど激しい口づけが落とされ思考を奪っていく。


「アンソニー、ずるいよ」


「心配させた罰だよ」


 アンソニーの胸の中にすっぽりと体が奪われ、身動きもできないほどたくさんのくちづけが落とさる。くちびるから首筋、胸元へとくちづけが移動し、情熱が体の芯まで落とされる。着ていたドレスを脱がされ、とろけるような官能におもわず両手を彼の背中へ回し、ぬくもりを受け止める。離れていた時間を埋めるかのように、二人の時間を堪能し愛をたしかめあった。





◇ ◆ ◇


*Fabulous ・ファビュラス*特別企画

編集長・康代が教えちゃう!!

♡ 海外恋愛レッスン・初級編②♡


もう気づいたかしら……。カレンの台詞の中でよく使われている言葉。

「ありがとう」

シンプルな言葉だけど大切よね。


「Thank you✨ありがとう」「Please 💋お・ね・が・い」

この二つの言葉は、恋における魔法の言葉よ!


「Please 💋お・ね・が・い」は、言葉の最後に使うといいわね。甘える時に、ちょっと小悪魔的に使うのが効果的。母性本能をくすぐる作用があるわよ。海外では、小さな子供がよく使う手なんだけど、これを真似るの。


そんなこと恥ずかしいとか、バカバカしいとか言ってるあなた……👀


大人しく従順なだけじゃ、飽きられちゃうわよ。

甘え上手になって恋を成就させるのよ!!



♡ 編集長〜康代のつぶやきでした♡




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