第27話 ジャン=クラウド編⑩新たな約束
部屋へ戻って来たジャンは、
「ジャンは、お酒が強いんだね」
ジャンは、スコッチ入りのコップを手に、ソファーに戻って来た。コップの中の氷とスコッチを混ぜる音だけが、やけに大きく耳に響いてくる。
「カレン。今日は飲みたい気分なんだ。さぁ、映画の続きを一緒に観よう」
ジャンの一番のヒット作・アクション映画を二人で改めて
「カレンの
膝の上にジャンの頭を乗せられ、
ご両親を小さな頃に亡くしたって言ってたけど、苦労したんだな。華やかな世界で輝き続けるためにジャンは、すごい努力をしている。いや、努力というより生き残るために戦ってると表現した方が、正しいのかも知れない。
モデルのアリーも私をプールに突き飛ばした。彼女の行為は、絶対に許されることじゃないけど、みんな必死に生き残りをかけて戦ってるんだ。笑顔の裏に、人知れない悲しみや憎しみを押し込んで仮面の中で生きている。
ジャンは、今まで人に
小さな身繕いをしたジャンに慌てて、手を離す。私……何やってるんだろう。よかった。ジャンは幸い気づいてない。映画は、何も知らずに淡々と進んでいくが、スヤスヤと眠るジャンの顔が気になって、大型スクリーンに映し出されているジャンの映画をまともに見ることもできない。
二時間半の映画も終わり、スクリーンに何も映されなくなったとき、ジャンが目を覚ました。
「映画……終わっちゃったんだね。カレン、君はどんな映画が好きなの? 次は、カレンの好きな映画を観たいな」
「私ですか……私は、アクションも好きですが、恋愛映画も好きです。レジェンド・オブ・フォールやタイタニックとか、胸がキュンとなる人間の心の葛藤を描いたラブストーリーが好きで、いつも観ています」
「そうなんだ。もし……僕が、恋愛映画に出演したら、カレンの好きな映画に追加してくれるかな。そして……いつも、その映画を観てくれるかな」
「もちろん、絶対観ちゃいますよ。私、ジャンの大ファンですから……約束します」
二人は映画の話や、好きな小説の話をして、とてもリラックスした気分の中、ゆっくりと時間が流れる1日を過ごした。
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