第2話
カウンターキッチンは便利だ。料理を作りながら管をちゅうちゅうと吸っている彼女の表情を眺めることができる。感情を読み取ることはできなかったけれど、君が充実しているなら喜ばしいことである。そういうおおらかな心で君の何もかもを受け止められるのは僕だけなんだよ。聞こえてないか。彼女の具合はあまり良くないようなので、生姜とニンニクをたっぷり摩り下ろす。玉ねぎとにんじんも摩り下ろして、玉ねぎはバターで飴色になるまで炒める。コンソメはたっぷりいれる。彼女はスープを好む。スープだとよく食べるから。材料も水も煮立ったころ、彼女を見ると訝しむような顔で管を見ている。眉間に皺が寄っていて、その表情は好きじゃないな、と思う。スープは少し冷ましてから彼女に運ぶ。さっき出したお茶はすっかりさめてしまったね。これを飲んで。寒いね。もう一度しっかり毛布でくるんであげる。そして、僕の作ったものを食べて。はい、あーん。歯がないんだからしっかり唾液と絡めてから飲み込むんだよ。そう、とても素直でいい子だね。眉間から皺が消えたので、よかった。
可愛がりたい むらた @muratamurata
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