第9話 一つの可能性
話せば話すほど謎が深まっていく居候の鷲。さっきから思っていたんだけど、鷲に対して「彼」と呼ぶのもおかしいのではないか。じゃあどう呼んだらいいのかと聞かれると答えられないのだけれど…。
そんなことを考えながら、疲れ果てた頭と体で寝室へ向かう。どうやら疲れた頭でもあの鷲について考えることはやめられないようだ。私も以前よりかは鷲に対して少しは興味をもてたということなのか。それともまだ鷲を警戒しているのか。まぁ、どちらにせよ、どちらでもないにしろ、もう少しあの鷲について考えてみた方が良さそうだ。
寝ようとしてベッドに横になったその時、あることを思い出した。
「そういえば………」
それを思い出したところで私の意識は途切れた。
「…………」
日曜日午前五時。私は昨夜のことについて聞こ
うと、鷲の起床を待っている。ガチャ、とドアが開く音がすると、そこにはいつも通り…いや、いつもより眠そうな鷲がいた。おそらく寝不足だろう。だがしかし、私にそんなことは関係ない。だいぶ最低な発言をしたが…うん…関係ない。
「あのさ」
「ん…?なんじゃ…」
眠そうな声で鷲が答える。
「毎日深夜一時くらい…どこかに行ってない…?」
「…………」
「いつもそのくらいの時間になるとさ、あなたの部屋からドアが開いたりタンスが開いたりするような物音が聞こえるんだけど…」
「喉が乾いて飲み物を取りに行っているだけじゃ。気にすることはない。」
そう答えて今日は放っておいてくれと言って部屋に戻って行った鷲は、どことなく暗い顔をしていたよ
うな気がした…。
そこから始まった鷲の居ない一日。どうしてだろうか。一昨日あたりまではあの鷲がうるさくて面倒臭くて仕方がなかったはずなのに…。なんだか寂しいな。このまま鷲が部屋からずっと出てこなかったらどうしようか。もしかして聞いてはいけないことを聞いてしまっただろうか。私が嫌になってしまっただろうか。疲れた頭はまだ全回復はしていない。それでも私は鷲のことを考えていた。勝手に頭が回転
してしまう。
なんだかんだ言っても良い同居人…いや、同居鷲だったのだと思う。しかし、やっぱり何かあるな。どうしてかは分からないけれど、私が知っておくべきだと思った。そして約四時間…調べて考えて…あの鷲のことを少しでも知るということに時間を費やした。迫り来る睡魔に負けまいとパソコンの液晶を見ていて見つけた一つの記事。それのページを開い
たところで私は睡魔に負けた。
(隠れた都市伝説一覧:①人間監視役を任された鷲)
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今回も読んでくださった方ありがとうございます。
また次回もお楽しみに!
next→師綺
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