第6話 消えた休息

「~♪~♪」


少し熱いくらいのお湯に浸かり、いつも通り鼻歌を歌いながら体を休める。一人暮らしということもあって、いつも静かな環境でゆっくり休める……はずだった。昨日までの日常はどこに消えてしまったのだろうか…。私の背後から凄い視線を感じるのは気のせいだろうか…いや気のせいじゃない……日本語

が喋れるくせに日本語が理解できないのか!?もしくは難聴か!?歳か!?そこにいるのは気づいてるんだ…観念してさっさと出てこいよ!やってる事はストーカーとほぼほぼ変わらないぞ!?いや待て落ち着こう。取り乱してしまっては相手の思う壺だ。ここは笑顔で優しく事情を聞いてみよう……って出来るか!?そんなこと出来るわけないでしょ!私そんなに心の広い人じゃないから

ね!?というかタオル巻いててよかった…。素直にそう思う…。


「さっきから何を1人でブツブツと喋っておるのだ?」


「誰のせいだと思ってるの…」


「だいぶゲッソリしておるな…。誰じゃ!儂の大事な下僕をこんなにも疲れさせておるのは!」


あなたですけど!?あなたが私の休息の時間を削ってるんですけど!?……なんてことは口が滑っても言えない…言わないでおこう。なんでって?だってこの鷲人の言葉を喋るんだよ?ただでさえメルヘンの世界みたいな設定なんだから、そのうち剣とか銃で攻撃してきたり、魔法を使ってきてもおかしくないと思うんだ…うん。


ということでここは


「一緒に入る?お風呂……。」


私なりに優しさ満載で気を使って言ったつもりだ。私の体をガン見してたからね…。ガン見だからね。一方の鷲はというと……何アイツ!?すっごい冷たい目で見られたんだけど!?え…私が変態みたいじゃん!これ私が悪いの!?


「まったく…そんなに変態だったのか!儂も人の事は言えんがな!」


いや、あなたと一緒にしないでくれる!?

私はもう諦めることにした。この鷲には常識や気遣いというものが全くなっていないようだ。これは私が教育し直すしかないな。


「お主も失礼なことを考えるものだな」


「……は?」


え…?なんで?どういうこと?

まるで私の心が読めるみたいじゃない。え…もしかして本当に!?


「そのもしかしてじゃ」


いやいや、涼しい顔でそんなこと言われても……。やっぱりこの鷲に対しては気を抜いたら終わりなようで。

私はこれからやっていけるかな…。

改めてそんなことを考えながらお風呂から出る。あ、もちろん鷲は外に放り投げたから。秒速で戻ってくると思うけど…。


「こら!この儂を投げるとはどういう

ことだ!」


ほらね。まぁ、なんとかなる。うん…そう思っていないと私の精神が崩壊する気がする。何事もポジティブが大事!そう自分に言い聞かせる。儂の首を掴んで寝室へ行き、儂をその辺に転がしておいて自分はさっさと寝る。それがついこの間からの私の生活だ。元の生活に戻れるのはいつのことになるのやら…。先が思いやられるな……。というか今日は私

の心の声が鷲にダダ漏れってことだよね。だいぶ荒れたからか、すごく疲れた。本気にしちゃいけないな。そんなことを考えてから、今日も私は儂のいびきを聞きながら頑張って寝ます。ちゃんと寝て休みたいのにな……。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夢人です!更新が遅れてしまい申し訳ありません……。今後はきちんと遅くなり過ぎないよう更新していく予定ですので、何卒よろしくお願いします!


next→虚良

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