第3話二十三歳ー2
約束の日、正美は緒方の実家の最寄り駅にて待ち合わせをした。
緒方本人が正美を迎えに来て、車にて案内した。
どこにでもある、普通の団地だった。
玄関を通り、靴を脱いでも、正美の自宅と大して変わらなかった。
親も、兄弟もいる。喫煙の余韻がかすかに鼻をくすぐる。
ただ、体格の良い男性が我が物顔で胡坐をかき、その隣で長身と思われる女性が顎を上げて正美を見上げていた。
彼らこそ、ネズミの先輩、いわゆるアップだった。
当時の正美はままならない現状に足掻いていて、泥沼から抜け出すには手段を選んではいられないと考えていた。
ネットワークビジネスの仕組みが、正美の葛藤を利用した。
正美がネズミの世界に登録したその日から、地獄が始まった。
今となっては、インターネット上の口コミに頷ける。
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