第20話 賢者の力を....
マリア達は床の抜けた王座の間に転がっていた。
ロバートは1番に瓦礫をどかし這い上がり2人を探す。
「マリアアアアア」
「クロエエエエエ」
声は塵が降りしきる中に響き渡る。
しばらくしてから瓦礫を払い除ける音と共に微かに声が返る。
「なんとか生きてるわよ。」
クロエだった。
「王は?何処へ行ったの?」
ロバートは上を指さす。
そこには、大きな穴が開いていて夜空が見えていた。
「たぶん、この上だ。」
クロエは何かを思い出したかのようにマリアを探す。
「マリーはこの辺にいたはずよ。」
マリアが立っていたであろう場所の瓦礫をどかすとそこには倒れたマリアが転がっていた。
クロエは駆け寄り生きているかを確かにほっとしたようにロバートにうなづく。
2人は、上から響く唸り声とプロトの爆音の中マリアが起きるのを待つのだった。
マリアは白き無の世界にいた。
そしてしばらくすると1人の女の子が現れる。
その子はマリアに語りかける。
【大いなる王の血は、賢者の力を飲み込みそれは魔の王たる力となってしまった。
私は、世界を管理する者です。名をヘルスト。】
マリアは聞き覚えのあるその声に答える。
「貴女が私にずっと話しかけていた子ね。なぜ、私が貴女に呼ばれたの?」
【魔の王を封じなくては、ならない。そして魔の王が現れる時、同じくして賢者の力を持つ者も世界のバランスを保つために生まれる。】
そういうと少女は、右手を上げ、手のひらを返した。
すると大きな扉がマリアと少女の前に現れた。
【賢者の力は、偉大な力。扉を開けて願いをいけ贄に賢者の力を貴女に与えましょう。】
「願いを生け贄?」
【願いは人により違うものになる。そして、友は眷属と呼ばれるものになり、大いなる力を得るだろう。】
マリアは扉に両手を押し当て、おもいっきり押した。
扉は、大きな重い音を立てながら開き始める。
願いが吸われ通行料が払われる。
声が響く、我がお主の代償として消えよう。
【さあ、目覚めよ。そして眷属ともに賢者の力で魔の力を退けるのだ。】
マリアの意識がふっと真っ白の世界に扉ごと飲まれていく。
マリアはホコリに咽せるように目覚めた。
起きるとそこには友が先に目覚めマリアを待っていた。
クロエがマリアを見て
「マリー、起きた?」
「私どのくらい倒れてた?」
「10分ほどよ。」
マリアは自分の持ち物を確認する。
しかし、あるものがそこから消えていた。
杖である。
ドロイドが消えていた。
そんな中
王はマリアたちが目覚めたことを知り、滑空してまた王の間に舞い降りるのだった。
転生したのが錬金術が完成した世界で.... 双葉リンネ @htahtarin
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