第17話 グーツ砦で....

マリアたちは、けたたましい警報で目が覚める。

戦闘配備の警報音だ。

グーツ砦で戦闘が始まったのだった。


爆破音と何かが燃える匂いが漂ってきた。

それと同時に帝国兵が砦になだれ込んできたのだった。

マリアたちも武器を手に応戦を始めた。


ロバートが剣を鞘から抜くとその剣は雷を帯びた。その雷は剣で防ぐことが出来ず帝国兵は感電して倒れていく。

「ライトニングのエンチャントは完璧だぜ」

「調子に乗ると痛い目見るよ」

と言うとクロエはエンチャントの付いた剣でロバートの後ろにいた兵を叩き切った。

「ロバート無事?」

「なんとか」

「マリアとロロは?」

「マリアはあそこ」

ロバートは指を指す。

マリアは地面にドロイドの杖を指し水を操り兵を薙ぎ払っていた。

「マリアは大丈夫そうね」

「ロロは後方に下がったよ」

「ロロは戦闘向きじゃないしね」

帝国兵が叫び出す。

《錬金術師がいるぞ、気をつけろ!》

マリアたちは、武器を握りなおす。


その叫びを聞いたのか後ろから2人の男が近く。

「面白そうなのみーっけ」

大きな武器を背に身につけた高身長の髭面男と小柄で長い剣を装備した体格のいい男だった。

「神徒様が出られずとも我々で殺ります」

帝国兵がその男たちに言う。

「お前達は雑魚をやれ、こいつらは俺らが遊ぶ」

と言うと背中の武器を構える。

それは折りたたまれた弓矢だった。

もう1人も長い剣を両手で構え、スライドするような速さでロバートに切りかかる。

ロバートは受けた衝撃で後ろに押されるが弾き返した。

「雷のエンチャントが効かない」

「言い忘れてたよ。小僧」

男は後ろに飛び、元の場所に戻った。

「我が名は、トランドール。5席の神徒で神器の名は雷鳴のギラルプである。それとこやつは、7席のトルダだ」

「自己紹介とは余裕だな」

「まあな」

トランドールは目線をクロエに合わせるとクロエに向かって切り込んだ。

ロバートはその目線を読み、クロエの前に割り込みトランドールを弾き返した。

「よく見てるな。いい反応だ」

そう言うと何かを避けるようにひらりと舞うとロバートとトランドールの間を風が通り向ける。

その風は、クロエに当たる手前で見えない壁に当たり止まった。

トランドールは、驚いた顔でマリアを見る。

「ほう、それは魔法ですね!」

マリアは咄嗟に光の壁をクロエの前にはっていた。

「これは、本気でやらなくてははなりませんね」

というと剣にリールをセットするトランドールの身体が帯電し始めた。バチバチと火花を散らしながら剣を構える。


「皇帝陛下より授かりし神器の力とくと見よ、神器レスタード。神の雷撃である」


振り下ろした剣から飛んだ斬撃は雷を帯びてマリアたちを襲う。

だが、トランドールの詠唱とともに別の詠唱もされていたのだ。


「開け、ストーリーオブドラゴン。竜魔法ドラゴンブレイブ」


斬撃がうち消えて爆煙が漂う。

爆煙の中にクロエが本を広げて立っていた。

「魔導書使いまでいるとは、聞いてませんよ」

飽きれたようにトランドールは笑う。

「援護してくださいよー。トルダ」

「面白そうだから見てたのにしょうがないなあ」

トルダも武器を構え、リールをはめ込む。

「次は外さないよ」

トランドールは再びリールをはめ込み切り込む。

ロバートは魔剣で受け止める。

「しつこい、小僧だ」

「悪いね。神様」

マリアはトルダに向けて光の矢を放つ。

「当たれー」

「小賢しいわ」

トランドールがリールを使い、雷鳴の如くの速さで矢を叩き落とす。

その勢いでロバートは吹き飛ばされ後ろに弾かれる。

「竜魔法ドラゴンソール」

クロエは竜化の魔法を唱える。

「こいつら強すぎ一旦下がろう」

ロバートが指示を飛ばす。

竜化したクロエがかく乱のために次の魔法を唱える。

「竜魔法ドラゴンブレス」

魔法円からマグマに似た火の塊が出て神徒を囲む。

「急いで」

マリアたちは後方へと走り出した。


後方退却地に逃げ延びた頃にグーツ砦は火の海となり陥落していた。

生き延びたマリアたちは指揮官の命令により前線から王都防衛戦への参加を下され、昨夜まで歩いた道を引き返すのだった。



-王都王宮内-

(イフ王よ、力を使わねば国もすべて消えて無になるぞ?)

暗い王座に座るイフ王に語りかける仮面の男がいた。

「この王の指輪を使えば、古代兵器で帝国を倒せるのだな」

(そうとも、この国にある古代兵器を使い守るのだ)

「わかった。やろう」

(見させてもらうぞ、王の力を)

そう言うと黒い霧となって消えていった。

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