第12話 課外授業で.....

今日は、課外授業の日だ。

マリアはドロイドを手に集合地点まで向かっていた。

今回の課外授業は、当日に寮母から自分の集合地点を伝えられそこに行くとチームの者と合流できるという流れだ。

マリアは、海側の森の入口が集合地点でそこへ向かっていた。道なりは険しくはなく平たんな道で王都を出てから3キロほどのところだ。

マリアは、最後の方に呼ばれ集合地点を聞かされたため集合地点にはもう2人の人影があった。そこには、クロエとロバートが待っていた。仲の良さや相性などを見て考えられたパーティーだろう。

クロエは、ロバートとはあまり親しくないようで気まずそうにいたがマリアが見えると飛びついて喜んだ。

「マリーだ!やったね。」

「ロバート、クロエよろしく。」

ロバートは手で挨拶をする。

「さっさとやっちまおうぜ。マリア」

「生態調査ってなにするの?」

「この森にどんな生き物がいるのかを調べるだけだ。」

「魔物退治かと思ってた。」

「それも内容には含まれてる。」

そして、3人は森の中へと入っていく。

「久しぶりに森に入るぜ。」

「マリーたちは、こういうところなれてるんだっけ?」

「まあね。」

大きな木が生えていて薄暗い森を進む。

足元も根っこで歩きにくいところだ。

木の上をロバートが指を指す。

「あれは、イーグルバードだ。」

木の上には、赤い鳥がとまってこちらを見ていた。その鳥は、ロバートに気が付かれたのを感じて飛び去っていった。

その後、急に森の中に物凄い轟音が鳴り響く。木が倒れる音だ。


ギィギーーギー…...ゴドーン。

大木の倒れる音。

「なんなの。」

クロエが驚きながら叫ぶ。

ロバートの持っていた、魔物が近づくと光る石、精霊石が光り出す。

「まずい。来る!」

森の奥から黒い大きな影が現れた。

「ブラットホーンベアーだ。」

ロバートは叫ぶ。

その姿は、大きな熊であり毛は赤黒く額には大きな角が生えた魔物であった。

「戦闘準備!」

クロエが叫ぶ。

ロバートは、魔剣を抜き盾を構える。

クロエも短剣の魔剣を構える。

マリアは少し後に下がり、ドロイに生命エネルギーを込める。

ドロイドが起き上がる。

「なんじゃ、ブラットホーンベアーか。角に注意せい。」

ベアーは、ロバートに向かって右腕を振りかざす。ロバートは錬金術で強化した盾で防ぎ右手の魔剣が炎を纏い切りつける。

ベアーは身体に火がつき燃える。だから身体を身震いさせ振り払ったが斬撃が後方より飛んでくるので再び燃え上がる。

「くらえー。」

クロエの魔剣の力だ。

刀身に熱を保ち、風属性の斬撃を飛ばしていた。炎がベアーの身体を包むが振り払われていた。

「ダメ、全然効かない。」

クロエが叫びながら後ずさりする。

するとベアーの角に黄色い閃光が集まり始める。

グオーーー。

ベアーが唸りをあげる。

「まずいぞ。主よ我に力を。」

マリアはドロイに生命エネルギーを込める。

「我が防壁で皆を守らん。アクアウォール。」

ロバートの前に水の壁が現れると同時にベアーの角から雷撃が放たれる。

だが、その雷撃は水の壁を伝い地へと吸い込まれていった。

雷撃を放ったあとすぐにベアーは突進する。

「くっそー。」

ロバートは盾を構える。

バキーン。

鈍い音が響くとロバートは宙に浮く。

ロバートの盾は、雷を纏った角に貫かれ歪み穴が空いていた。貫通した角は、ロバートの右の脇腹をかすめ負傷を追わせていた。

「ごめん、クロエ。」

クロエは時間稼ぎに斬撃を飛ばし、ベアーに炎を浴びせる。ロバートを引きずり少し離れる。

「主よ。まずいぞ。」

「ドロイ、あれを使えば倒せる?」

「わからんが、今の状況は打破できるやもしれん。」

「わかった。」

マリアは、ドロイを離すとドロイは自立しマリアを眺める。

両手を前に突き出し、ベアーに向ける。

「光魔法ー。」

すると両手から光が集まり正方形のものが出現した。さらに詠唱する。

「構築せよ。光の弓エロース」

正方形のものは、形を変え大きな光の弓矢へと姿を変えた。

マリアは、その矢を引き照準を合わせる。

ベアーは異変を感じとり再び雷を纏いながら突進する。

「マリー、来るよ!」


「貫け信仰なる光の一撃ラストスナイト。」

マリアの手から放たれた光の矢は、物凄い速さで閃光を放ちながら飛んで行き突進するベアーの身体を貫通し森の奥へと消えていった。森の木に当たり何本かが倒れる音がすると共にベアーが地に崩れ落ちる。


クロエとロバートは何が起こったのかもわからずにいた。

「主よ。なかなかの威力じゃな。」

「疲れたー。」

マリアはその場に倒れ込む。

「もう動けない。」


マリアたちは、ロバートの怪我の手当てを行うと報告のため1度森を出ることにした。

魔法で倒したため、ベアーは燃やして処分した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る