第10話 契約を.......
夜、
マリアの寮
ベットの横に立て掛けられていた杖がカタカタと動く。
そして大きな音を立てて倒れる。
マリアは驚いて起き上がる。
「なんの音?」
倒れた杖に目をやる。
すると少し光を放っている。
マリアはベットから出て、床に転がった杖に手を伸ばし持ち上げた。
すると頭の中に声が響く。
(汝、この杖に力を示せ…)
マリアは首を傾げながらも杖に生命エネルギーを注ぎ始めた。杖の光が一瞬強くなり消えると
(汝、我の主と認めよう。我と契約を結ぶがいい。)
どこからまた声が響く、それは頭の中ではなく耳から聞き取れるものだった。
「我が主は、貴様か?」
マリアは声の主を探すが人はこの部屋にマリアしかいない。
「何処を見ておる。」
杖が手から無理矢理抜けて自立し始める。
「我が名は、ドロイド。神樹の根より作られし妖精の魔道具よ。」
「しゃべった!」
「我は、妖精族の魔道具なのだ。会話など造作もないわ。」
「.........。」
「我のことはどうでも良い。お主がかなりの使い手かと思って起きてみれば、ただのガキではないか。」
「口の悪い杖ね〜。」
「うるさい。でお主我と契約したいのか?」
「契約?」
「そうよ。我の力は強大なため扱える者と判断しないと我は目覚めない。だが目覚めたとしても我が認めん限り力を使うことはできない。」
「それが契約?」
「どうするのかはお主が決めよ。」
「私するよ、契約。」
「よかろう。では我の前に立て。」
するとドロイドは床を3回叩くと光が床に集まり、魔法陣が現れる。
「これは、契約の魔法陣だ。我はお主が死ぬまでお主のものよ、他人には使用できない。では、復唱せよ。」
マリアはドロイドについて復唱する。
(我、汝に力をわけ力を与えん。この契約を持って主従と力を行使する。)
詠唱を終えると魔法陣が消え、部屋の姿も元に戻った。
「これで我が主よ。宜しくな主。」
マリアは軽く頷く。
「主よ。我が得意とする属性は水エネルギーであるが、主は水エネルギーの魔法が少し使えるようだな。」
「水の玉を出すことくらいしかできないけども。」
「それで充分なのだ。我がコントロールして魔法を使用することもできるが、我の真の力は大地より尽きることのない水エネルギーを集め錬金術で増幅するのが本来の力。」
マリアは頷く。
「主の力に合わせて我が合わせよう。」
「じゃあ、ドロイドそれでよろしく。あと魔法なんだけどね。」
マリアはドロイドに光魔法が使えることと造形がうまくできないことを話した。
「それは、古代の魔導書だな。光エネルギーとは珍しい。それも消滅する魔導書など書いたものはかなり用心していたということか。」
「光を留めることはできるようにはなったんだけど造形して形が留まらないの。」
「イメージではどんなものを作ろうとしているんだ?」
マリアは、ドロイドに表現したいものを言うといろいろと試しながら夜を過ごした。
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