2
これまでの道中、とても大変だったけど、星は森にたどり着くことができた。(それは奇跡と呼べるくらいすごいことだ)
この森の奥に海がいる。もうすぐ私は海に会えるんだ。
そう考えていると星の表情は明るくなる。
すると自然とその足取りも軽くなるのだから不思議だ。
『随分ご機嫌だね。でも、気を付けて。この森は君が考えているほど甘い世界じゃないよ』
突然、星の頭の中にそんな声が聞こえてきた。
しかし星にはまるで動揺した様子が見られない。それがさも当然のことのように、星はその声に対応した。
「そう何度も同じ忠告ばかりしないでよね。私達は契約をして、正式なパートナーになったんでしょ? ならもっと私のことちゃんと信用してくれてもいいんじゃないの?」
その光景はどこか滑稽でもあった。他人から見れば、星が自分の頭の中にいる空想の住民とおしゃべりをしているようにしか見えないだろう。
『君は無茶ばかりするからね。ここまでの道中、僕がどれだけ心配しながら君の行動を見守っていたか、想像できる?』
それは子供の声だった。声から受ける印象は星よりもだいぶ年下に感じるが、その言葉遣いは星よりも随分しっかりしている。
「でも、ちゃんと森に着いたでしょ?」星は自信満々で返事を返す。
『それは僕の忠告のおかげさ。君のほうこそもっと僕のことを信用してほしいものだね』それに対して声はつねに冷静沈着だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます