6#反論

 ツキノワグマのブーウはノッシノッシと、憎悪な顔をしてイノシシのブッピに詰め寄った。


 「なあ、あいつは“山の主”じゃねえ!あいつはとんでもねえ自己中野郎だ!


 あの時の空を思い出して見ろ!ゴム風船がいっぱい飛んでただろ・・・あいつは“山の主”という立場をほったらかして、飛んできたゴム風船を追いかけていきやがった!俺はあいつを許さねえ!


 ゴム風船の中で死んだって?いい様だ!・・・」


 「なんだって・・・!」


 イノシシのブッピはその発言にカチンときた。


 ブッピはツキノワグマのブーウに詰め寄った。


 ブッピは膨らませて持っていたゴム風船の吹き口を離していた。ゴム風船はロケットのようにしゅるしゅると萎みながら飛んでいった。


 まるで森の動物達の“山の主”への自責のように・・・


 「もう一度言ってみろ!その言葉!」


 「ああ言ってやるさ!あのゴム風船イノシシの落ち度でな!いっぱい殺されたんだ!」


 「そうだ!そうだ!」


 「同じイノシシだからあの自己中野郎の肩を持つんだろ!」


 イノシシのブッピは森の動物達に反論された。


 今まで“山の主”の死に涙した者が今度は逆に“山の主”の死を自業自得と漏らしている・・・!


 イノシシのブッピは“山の主”がこの森に追放された時の悲しみを身をもって知った。




 イノシシのブッピは叫んだ。


 「もういい加減にしろ!!」


 森の動物達はブッピを責めるのをやめ

た。


 「お前らにはがっかりだ!一つの意見があると、気持ちがあっちにこっちにたなびくんだ・・・自分のそれぞれの意見を持ってくれ!!」


 イノシシのブッピは肩で息をしながら森の動物達に一喝した。




 「大変だ!大変だ!またあのハンター共がこの山に責めてきた!」


 飛んできたカケスが血相を変えてやってきた。


 「なんだって?!」

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